インテリアデザイナーはやめとけ？後悔しないための全知識

「インテリアデザイナーはやめとけ」というキーワードで検索されているあなたは、華やかなイメージの裏にある厳しい現実について、不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。

実際のところ、インテリアデザイナーの仕事はきつい場面も多く、具体的な仕事内容やリアルな年収、クライアントからの依頼の実情など、知っておくべき点は多岐にわたります。

また、デザイナーになるための道のり、例えば大学へ進学する必要があるのかというなり方や、有利な資格の有無、さらには絵が下手でも挑戦できるのかといったスキルに関する悩みもあるかもしれません。

この記事では、そうした厳しい側面を全て解説した上で、どのような人がこの仕事に向いてる人なのかを二つの視点から深掘りし、あなたの疑問に徹底的に答えていきます。

インテリアデザイナーはやめとけと言われる本当の理由

仕事きつい？想像を超える肉体的・精神的負担

インテリアデザイナーの仕事が「きつい」と評される背景には、単なる忙しさを超えた、心身両面にわたる深刻な負担が存在します。多くの人が抱くスタイリッシュなイメージとは裏腹に、現実は泥臭く、極めて過酷な場面の連続であると言っても過言ではありません。

まず精神的な負担についてですが、これは主に三つのプレッシャーから成り立っています。一つ目は、「クリエイティブの枯渇」との戦いです。デザインは常に新しいアイデアを生み出すことを求められますが、人間である以上、インスピレーションが湧かない日もあります。しかし、プロジェクトの納期は待ってくれません。アイデアが出ない焦りと時間的な制約が、精神をすり減らす大きな要因となるのです。

二つ目は、「クライアントの期待に応える」という重圧です。クライアントにとっては、住宅や店舗は人生における非常に大きな投資であり、その空間に託す夢や期待は計り知れません。その想いを一身に背負い、理想を形にするという責任の重さは、常にデザイナーの肩にのしかかります。

そして三つ目は、前述の通り、「終わりなき納期との格闘」です。デザインの完成はゴールではなく、むしろスタート地点に過ぎません。そこから施工業者との連携、現場でのトラブル対応、追加変更への迅速な対応など、プロジェクト完了まで気の休まる暇はなく、常に緊張状態が続きます。

これらの精神的負担に加えて、肉体的な厳しさもデザイナーを苦しめます。例えば、工事現場での一日は、安全靴を履き、ヘルメットを被って埃っぽい環境で過ごすことになります。

夏の蒸し暑い現場、冬の底冷えするコンクリートの上で、職人さんたちと配線の位置をミリ単位で調整したり、壁材の色味を自然光と照明の下で見比べたりと、繊細な判断力と体力が同時に求められます。また、国内外の展示会に足を運んで最新トレンドをリサーチしたり、理想の建材を探して郊外の倉庫まで車を走らせたりと、移動だけでもかなりの労働になります。

こうした日々の積み重ねが、慢性的な疲労につながっていくのです。

気になる年収は？会社や実力で大きな差がつく

インテリアデザイナーの収入は、個人のキャリアステージや所属する組織、そして何より本人の実力によって、驚くほど大きな差が生まれるのが実情です。「儲かる仕事」というイメージを持たれがちですが、誰もが高収入を得られるわけではありません。

キャリアの段階ごとに見ると、収入の推移には一定の傾向があります。まず、アシスタントデザイナーとしてキャリアをスタートさせる段階では、年収は300万円から350万円程度が相場です。この時期は、先輩デザイナーの補助業務を通じて、実務の基礎を学ぶことが主な目的となり、給与は決して高いとは言えません。

その後、3年から5年ほど経験を積み、一人でプロジェクトを担当できるようになると、中堅デザイナーとして年収は400万円から600万円程度に上昇します。このステージでは、デザイン力に加えて、プロジェクト管理能力やクライアントとの交渉力といったスキルが収入に直結してきます。

さらに経験を重ね、チーフデザイナーや独立したフリーランスとして活躍するようになると、年収は800万円を超えることも珍しくありません。特に、独立して成功を収めたデザイナーの中には、自身のブランドを確立し、年収数千万円を稼ぐ人も存在します。しかし、これはほんの一握りの成功例であり、フリーランスには収入が不安定になるリスクが常に伴うことを忘れてはなりません。

また、勤務先の業態も年収を左右する大きな要因です。一般的に、個人のデザイン事務所よりも、大手ハウスメーカーや組織設計事務所、デベロッパーの方が給与水準は高い傾向にあります。一方で、小規模なアトリエ系の事務所は給与が低めでも、デザイン性の高い仕事に携われるチャンスが多いという魅力があります。このように、何を重視するかによって、選ぶべき道と得られる収入は大きく変わってくるのです。

具体的な仕事内容と求められるスキルの多さ

インテリアデザイナーの仕事は、その華やかな響きとは裏腹に、非常に地道で多岐にわたる業務の集合体です。単なる「飾り付け」ではなく、空間という一つの製品を、コンセプト立案から完成まで導く「プロジェクトマネージャー」としての側面を色濃く持っています。

プロジェクトの基本的な流れをさらに詳しく見ていきましょう。

1. ヒアリングとコンセプト立案：この最初の段階が最も重要です。クライアントの言葉の裏にある「本当に求めているもの」を、巧みな対話を通じて引き出します。家族構成や趣味、日々の動線、将来のライフプラン、さらには「こんな雰囲気」といった抽象的なイメージまで、あらゆる情報を整理し、空間の核となる「コンセプト」を策定します。
2. 基本設計とデザイン提案：コンセプトを基に、具体的なデザイン作業に入ります。手描きのスケッチやCGパースで視覚的なイメージを固めると同時に、CADソフトを駆使して平面図、展開図、天井伏図、照明計画図、家具製作図といった数十種類に及ぶ専門的な図面を作成します。この段階で、床・壁・天井の素材、使用する家具や照明、ファブリックの色や質感まで、空間を構成する全ての要素を細かく選定していきます。
3. 実施設計と見積もり調整：デザインが固まると、それを実際に施工できるよう、さらに詳細な図面（実施設計図）を作成します。同時に、選定した素材や家具、工事費を積み上げ、全体の予算内で収まるように見積もりを調整します。クライアントの要望と予算の板挟みになりながら、デザインの質を落とさずにコストを削減する工夫が求められる、非常にシビアな作業です。
4. 現場監理と品質管理：工事が始まると、デザイナーは頻繁に現場へ足を運びます。図面通りに施工が進んでいるか、素材の色味や質感がイメージ通りか、コンセントの位置は適切かなど、自分の目で厳しくチェックします。現場では予期せぬ問題が必ず発生するため、その場で職人さんと解決策を協議し、迅速な判断を下す「現場対応力」が不可欠です。
5. 最終スタイリングと引き渡し：建物が完成した後、最後の仕上げとして家具やカーテン、アート、小物などを配置し、空間を最終的にスタイリングします。全てのチェックを終え、クライアントに鍵を渡す「引き渡し」の瞬間は、プロジェクトの集大成であり、最も感動的な場面の一つです。

これらの全工程を滞りなく進めるためには、デザインセンスという感性的な能力と、建築法規の知識や緻密な図面作成能力、円滑な人間関係を築く対話力といった論理的な能力が、車の両輪のように必要不可欠なのです。

クライアントからの依頼と過酷なスケジュール

インテリアデザイナーの業務は、常にクライアントからの「依頼」から始まりますが、この依頼こそが、仕事のやりがいと厳しさの源泉となっています。クライアントが抱く空間への夢やビジョンは、デザイナーの創造性を刺激する一方で、計り知れないプレッシャーとしてのしかかります。

依頼を受ける初期段階では、クライアントの要望をいかに正確に、そして深く理解するかが鍵となります。多くの場合、クライアントの要望は「温かみのあるリビング」「集客できるお洒落なカフェ」といった抽象的な言葉で語られます。デザイナーの重要な役割は、その言葉の背景にあるライフスタイルやビジネスモデルを読み解き、具体的なデザイン言語に翻訳していくことです。この翻訳作業がうまくいかなければ、どれだけ美しいデザインを提案しても、クライアントの心には響きません。

デザインプロセスが進行する中で、クライアントからのフィードバックに対応していくことも重要な業務です。時には、これまでの案を覆すような大幅な変更要望や、厳しい予算内での追加要求など、難しい判断を迫られる場面も少なくありません。自分のクリエイティビティとクライアントの満足度の間で、最適な着地点を見つけ出すための粘り強い交渉と調整が求められます。

そして、こうしたクライアントとの濃密なやり取りと並行して、容赦のないスケジュールが進行します。特に商業施設などのプロジェクトでは、オープン日が絶対的なゴールとして設定されており、そこから逆算して全ての工程が組まれます。

一つの工程の遅れが、後続の全ての工程に影響を及ぼすドミノ倒しのような状況を生むため、スケジュール管理は極めて重要です。デザイナーは全体の進捗を常に把握し、遅延が発生しそうな箇所を先読みして手を打つ、司令塔のような役割を担います。

クリエイティブな思考と、秒単位で物事を考えるような緻密な管理能力を同時に発揮しなければならないこの状況が、インテリアデザイナーという仕事の過酷さを象徴しています。

インテリアデザイナーはやめとけ？それでもなりたい人へ

インテリアデザイナーになるための3つのルート

インテリアデザイナーへの道は一つに定められているわけではありません。学歴や経歴に関わらず、情熱と努力次第で目指すことが可能な職業です。ここでは、代表的な3つのルートについて、それぞれの特徴をより深く掘り下げて解説します。

ルート①：大学でじっくり学ぶ
建築学科や美術大学のデザイン科に進学する方法です。このルートの最大の強みは、デザインの背景にある歴史や理論、建築構造といった根源的な知識を、4年間という時間をかけて体系的に学べる点にあります。「なぜこのデザインは美しいのか」「この構造はなぜ成り立つのか」といった問いに深く向き合うことで、流行に左右されない骨太な思考力が養われます。また、幅広い教養科目を通じて多角的な視点を得られることや、生涯にわたる友人や恩師との出会いは、デザイナーとして長いキャリアを築く上で大きな財産となるでしょう。

ルート②：専門学校で実践力を磨く
より早くプロの現場に出たいと考えるなら、専門学校が最適です。カリキュラムはCADや3Dソフトの操作、実践的な製図演習、企業と連携したプロジェクトなど、即戦力となるための技術習得に特化しています。講師陣も現役のデザイナーであることが多く、業界の「今」を肌で感じながら学べるのが大きな魅力です。同じ夢を持つ仲間たちと切磋琢磨する環境は、モチベーションを高く維持することにも繋がります。

ルート③：現場で学びながら独学する
最も険しい道ですが、強い意志があれば可能です。まずはインテリアショップの販売員や、設計事務所のアシスタントなど、未経験でも業界に飛び込める職を探します。現場で働きながら先輩の技術を盗み、夜間や休日に書籍やオンライン講座で専門知識を必死にインプットします。このルートは、何よりも「この業界で生きていく」という覚悟と、自らを律する厳しい自己管理能力が問われます。ポートフォリオ（作品集）を地道に作り上げ、実力をアピールできれば、学歴に関係なく道を切り拓くことができます。

キャリアを有利にする資格と専門知識

前述の通り、インテリアデザイナーになるために法律で定められた必須の資格はありません。しかし、競争の激しいこの業界で他者と差別化を図り、クライアントからの信頼を勝ち取るためには、客観的な能力証明となる資格が極めて有効な武器となります。

資格取得は、単に肩書きを得るためだけのものではありません。学習の過程で、これまで曖昧だった知識が体系的に整理され、専門家としての土台が確固たるものになるという、大きな副次的効果があります。ここでは、主要な資格について、その特性と試験の概要をさらに詳しく解説します。

これらの資格に加えて、現代のデザイナーには常に新しい専門知識のアップデートが求められます。

常にアンテナを張り、こうした新しい価値観や技術を自身のデザインに柔軟に取り入れていく姿勢こそが、これからの時代を生き抜くデザイナーにとって最も重要な専門性と言えるかもしれません。

絵が下手は不利？本当に求められるスキル

「デザイナーたるもの、絵が上手くなければならない」という考えは、多くのデザイナー志望者を苦しめる一種の呪縛のようなものです。結論を改めて強調しますが、あなたがもし「自分は絵が下手だ」と感じていたとしても、それがインテリアデザイナーになる夢を諦める理由には全く繋がりません。

その理由は、インテリアデザイナーに求められる描画スキルが、芸術家のような「自己表現としての絵」ではなく、「他者への情報伝達手段としての図」であるという点にあります。クライアントや職人に対して、「完成形はこうなります」「この部分はこのように作ってください」という情報を、正確かつ誤解なく伝えることができれば、その手段は問われません。

もちろん、打ち合わせの場で、お客様の目の前でイメージパースを素早く描ければ、それは強力なコミュニケーションツールになります。しかし、それができなくても、全く問題なく代替手段が存在します。

手描きの代わりとなる現代のツール

• CAD（Computer-Aided Design）：これが最も重要なスキルです。CADを使えば、ミリ単位で正確な平面図や展開図を作成できます。これは、施工の精度を保証する上で不可欠であり、手描きでは到底不可能なレベルの正確性を実現します。
• 3DCG（3D Computer Graphics）：作成した図面を基に、リアルな3Dパースを作成するスキルです。写真と見間違うほどの完成イメージを提示できるため、クライアントは空間を直感的に理解できます。家具の配置を変えたり、壁紙の色を瞬時に変更したりといったシミュレーションも可能です。
• 模型製作：スチレンボードなどを使って建築模型を作る技術も、空間を立体的に伝える有効な手段です。特に空間のボリューム感や光の入り方などを確認するのに役立ちます。

一方で、「絵が下手」という意識の根底にあるかもしれない「デザインセンス」については、磨く努力が必要です。しかし、これも才能だけで決まるものではありません。優れたデザインを数多く見て、なぜそれが優れているのかを分析し、良い部分を自分の引き出しにストックしていくという地道なインプット作業を繰り返すことで、センスは確実に養われていきます。

企業勤務か独立か？知っておきたいキャリアプラン

インテリアデザイナーとして長期的なキャリアを築いていく上で、働き方の選択は非常に重要なテーマです。大きく分けて「企業の一員として働く」道と、「独立してフリーランスとして活動する」道があり、それぞれに異なる魅力と厳しさが存在します。自身の性格やライフプランと照らし合わせ、最適なキャリアプランを描くことが成功の鍵となります。

安定と成長の「企業デザイナー」

新卒やキャリア初期の段階では、まずデザイン事務所、設計事務所、ハウスメーカー、インテリアメーカーなどに就職するのが最も一般的なルートです。企業に所属する最大のメリットは、経済的な安定と教育環境にあります。

一方で、組織の一員である以上、会社のデザイン方針やルールに従う必要があり、自分の作家性を100%発揮するのは難しい場面もあります。また、デザイン以外の社内業務に時間を割かれることも少なくありません。

自由と責任の「フリーランスデザイナー」

企業である程度の経験と実績、人脈を築いた後、独立開業するデザイナーも多くいます。フリーランスの最大の魅力は、何物にも縛られない自由さです。

しかし、その自由には大きな責任が伴います。デザイン業務はもちろんのこと、クライアントを探す営業活動、見積書や契約書の作成、経理処理といった経営に関する全ての業務を一人でこなさなければなりません。収入は不安定で、仕事がなければゼロになります。強靭な自己管理能力と、孤独に耐える精神力が不可欠です。

厳しさの先にあるやりがいと向いてる人の資質

この記事を通じて、インテリアデザイナーという仕事の厳しい側面を数多くお伝えしてきました。では、なぜこれほど過酷であるにも関わらず、多くの人々がこの職業に情熱を注ぎ続けるのでしょうか。その答えは、困難を補って余りある、計り知れない「やりがい」にあります。そして、そのやりがいに心から共感できるかどうかが、あなたがこの仕事に本当に向いてる人かを見極める試金石となります。

この仕事の根源的なやりがいは、二つの瞬間に集約されます。

一つ目は、「想像が、現実になる」瞬間です。何もない更地の状態から、あるいは古びた内装を解体したスケルトンの状態から、プロジェクトは始まります。クライアントとの対話を重ね、頭の中で練り上げたアイデアを、図面という二次元の世界に落とし込む。その図面が、多くの職人たちの手によって、少しずつ、しかし着実に三次元の空間として構築されていく。そして、ついに工事が完了し、家具が置かれ、照明に明かりが灯り、自分が思い描いた通りの空間が目の前に立ち現れた時の感動と達成感は、言葉では言い表せないほどのものです。それは、無から有を生み出す、創造主にも似た喜びと言えるかもしれません。

二つ目は、「誰かの人生に、深く寄り添う」瞬間です。完成した住宅にクライアント家族の笑い声が響いた時。デザインした店舗に行列ができ、街の新たなランドマークとなった時。リノベーションしたオフィスで、社員がいきいきと働く姿を見た時。デザイナーは、自らが手がけた空間が、人々の暮らしを豊かにし、ビジネスを成功に導き、日々の営みの舞台となっていることを実感します。クライアントからいただく「あなたに頼んで本当に良かった」という感謝の言葉は、それまでの苦労を全て吹き飛ばし、次のプロジェクトへ向かうための何よりのエネルギーとなるのです。

これらのやりがいを踏まえた上で、本当にデザイナーに向いている人の資質とは、単なるスキルセットではありません。それは、

• 知的好奇心：建築、アート、歴史、心理学など、あらゆる物事に関心を持ち、デザインの糧にできる探求心。
• 共感力：クライアントの言葉にならない想いを汲み取り、自分のことのように空間づくりに没頭できる力。
• 楽観的な粘り強さ：次々と発生する問題に直面しても、「どうすれば解決できるか」と前向きに考え、最後まで諦めない精神的なタフネス。

このような資質を併せ持ち、厳しい現実を理解した上でなお、空間づくりを通じて人を幸せにしたいと強く願う人。それこそが、インテリアデザイナーという天職を全うできる人物像です。

インテリアデザイナーはやめとけという噂の総括

この記事では、「インテリアデザイナーはやめとけ」という言葉の裏にある厳しい現実と、それでもなお多くの人を惹きつける魅力について、多角的に深く掘り下げてきました。

最後に、あなたのこれからのキャリア選択の助けとなるよう、この記事の要点を改めてまとめます。