「夢日記はやめたほうがいい」という話を聞いて、不安に思っていませんか。
自己分析などの効果を期待して始めてみたい一方で、精神崩壊につながるという都市伝説もあり、つけた結果つけ続けるとどうなるのか、そのデメリットや危険の理由が気になる方も多いでしょう。
また、夢日記をきっかけに夢の中で夢に気づく体験をする人もいるようです。
いい夢だけ記録すれば安全なのか、便利なアプリを使っても大丈夫なのか、そして危険性に関する科学的根拠はあるのか、様々な疑問が浮かびます。
この記事では、そうしたあなたの疑問や不安に寄り添い、夢日記にまつわる情報を多角的に解説していきます。
この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
- 夢日記に潜む具体的な危険性とデメリット
- 精神が崩壊すると言われる都市伝説の真相
- 夢日記のメリットと、科学的な観点からの説明
- 不調を感じた際に取るべき安全な対処法
なぜ夢日記はやめたほうがいいと言われるのか?
- 夢日記のデメリット・危険とされる理由
- 気が狂うという話は単なる都市伝説?
- 夢日記をつけた結果:つけ続けるとどうなる?
- 精神崩壊につながるという体験談
- 便利な夢日記アプリにも注意が必要
夢日記のデメリット・危険とされる理由
夢日記をやめたほうがいいと言われる最大の理由は、現実の記憶と夢の記憶との境界があいまいになり、精神的な負担が増加する可能性があるためです。
なぜなら、本来、夢は日中の出来事や記憶を整理し、不要な情報を忘れるために見ると考えられています。しかし、夢日記をつける行為は、この「忘れる」という自然なプロセスに逆らうことになります。夢の内容を必死に思い出して記録することで、脳は夢の出来事を重要な記憶として定着させてしまうのです。
例えば、最初は面白いと感じていても、次第に「夢の中で買い物をしたのに、現実でも買ったと勘違いする」「友人と会う約束をした記憶が、実は夢の中の出来事だった」といった混乱が生じ始めます。これが積み重なると、自分の記憶に対する自信が揺らぎ、常に不安を感じるようになってしまうのです。
このように、夢日記は自己分析のツールとなる一方で、心身のバランスを崩す引き金にもなりうる、諸刃の剣と言えるでしょう。
気が狂うという話は単なる都市伝説?
「夢日記を続けると気が狂う」という話は、多くの人が不安に思う都市伝説の一つです。中には、作家の芥川龍之介が夢日記のせいで精神を病んだという話までありますが、これには明確な証拠がありません。
では、この都市伝説は全くのデタラメなのでしょうか。 医学的に「夢日記が直接的に精神病を引き起こす」と証明されているわけではありません。しかし、全く根拠がないとも言えないのです。
その理由は、前述の通り、現実と夢の記憶が混同することで生じる強いストレスや混乱が、周囲から見ると「言動がおかしい」「気が狂ったように見える」と捉えられる可能性があるからです。あるYouTuberが数ヶ月夢日記をつけたセルフ実験では、発狂こそしなかったものの、「日常の細々とした現実認識がズレていき、周りから時々おかしなことを言うな、と思われる程度にはなった」と報告されています。
つまり、「気が狂う」という言葉は、実際に精神が崩壊するというよりは、記憶の混同によって引き起こされる混乱状態を大げさに表現したもの、と考えるのが妥当でしょう。とはいえ、当人にとっては深刻な問題であり、軽視することはできません。
夢日記をつけた結果:つけ続けるとどうなる?
夢日記をつけ始め、それを継続していくと、多くの人がいくつかの共通した変化を体験します。
まず起こるのは、夢を記憶する能力の向上です。最初はほとんど覚えていなかった夢が、記録を意識することで、驚くほど鮮明に、そして詳細に思い出せるようになります。夢の中の会話や、看板に書かれた文字まではっきりと記憶できるようになる人もいます。
しかし、これは必ずしも良い変化とは限りません。夢の解像度が上がるにつれて、夢はどんどんリアルになり、時には長編映画のような壮大な物語を見るようになります。毎晩のように強烈な体験をすることで、脳は休まる暇がありません。
その結果、多くの体験談で語られているのが、現実の記憶との混同です。特に、夢の内容が「友人との会話」や「買い物」といった日常的なものであるほど、その出来事が現実だったか夢だったかの区別がつきにくくなります。この状態が続くと、自分の記憶システムそのものに不信感を抱くようになり、日常生活に支障をきたすことにもなりかねません。
精神崩壊につながるという体験談
夢日記がもたらす影響は、単なる記憶の混乱に留まらない場合があります。実際に、2年間にわたり夢日記を記録し続けた結果、精神崩壊の手前まで追い詰められたという壮絶な体験談も存在します。
その方の場合、夢が詳細で長編になっただけでなく、やがて夢の中で「これは夢だ」と自覚しながら、夢の内容を評価・編集するようになっていったそうです。一見すると、夢をコントロールできているように思えますが、実態は全く逆でした。
睡眠中であるにもかかわらず、脳は「面白い夢を記録しよう」と常に活動している状態になります。そのため、朝起きると8時間しっかり眠ったはずなのに、まるで徹夜で仕事をしたかのような、すさまじい精神的疲労を感じるようになったのです。
睡眠は本来、心身を休ませるための安らぎの時間です。その睡眠が苦痛に変わり、眠ることに恐怖さえ感じるようになると、人の精神が安定を失うのは当然と言えるでしょう。このように、夢日記への過度な没入は、心身の健康を著しく損なう危険をはらんでいるのです。
便利な夢日記アプリにも注意が必要
近年、スマートフォンで手軽に夢を記録できるアプリが多数登場しています。カレンダー機能やタグ付け、中にはAIが夢を分析してくれるものまであり、非常に便利です。
しかし、この手軽さが、かえって夢日記の危険性を高めてしまう可能性も指摘できます。紙のノートに書き出すよりも記録のハードルが格段に低いため、より頻繁に、より深く夢の世界に没入しやすくなるのです。
特に、AIによる夢分析や、他のユーザーと夢を共有できるコミュニティ機能などは注意が必要です。夢の解釈に一喜一憂したり、他人の夢と比較したりすることで、さらに夢への関心が強まり、現実とのバランスが取りにくくなることが考えられます。
もちろん、アプリを節度を持って利用し、あくまで自己理解の一環として客観的に捉えることができれば問題は少ないかもしれません。ただ、夢日記をつけ始めたことで少しでも生活に違和感を覚えたなら、アプリがそのめり込みを加速させていないか、一度立ち止まって考えることが大切です。
夢日記はやめたほうがいいか多角的に検証
- 期待される自己分析などの効果とは
- 危険性に関する科学的根拠はあるのか
- いい夢だけ記録する方法なら安全なのか
- 夢の中で夢に気づく明晰夢の罠
- 夢日記はやめたほうがいいのかの総括
期待される自己分析などの効果とは
これまで夢日記の危険性について主に述べてきましたが、一方でメリットが全くないわけではありません。夢日記が持つとされる肯定的な効果で最も代表的なものは、自己分析のツールとしての活用です。
夢は、自分でも気づいていない深層心理や抑圧された感情、ストレスなどが表れる場所だと言われています。そのため、夢の内容を記録し、客観的に見返すことで、自分の心の状態を把握する手がかりになることがあります。例えば、繰り返し見る夢のパターンから、自分が何に不安を感じているのか、何を求めているのかといった気づきを得られるかもしれません。
また、夢の奇想天外なストーリーが、小説や絵画などの創作活動におけるインスピレーションの源になることもあります。
ただし、これらの効果は、夢と現実の間にしっかりと線を引ける冷静さを保てることが大前提です。夢の解釈に振り回されたり、夢の世界に過度にのめり込んだりしては、本来の目的である自己分析すらままならなくなってしまいます。
危険性に関する科学的根拠はあるのか
「夢日記が危険」という話に、明確な科学的根拠はあるのでしょうか。 現時点では、「夢日記が精神疾患を直接引き起こす」ということを証明した研究データは存在しません。しかし、睡眠と記憶に関する脳の仕組みから、その危険性を説明することは可能です。
私たちの脳には、睡眠中に見た夢の記憶を消去する「MCH神経(メラニン凝集ホルモン産生神経)」というものが存在すると言われています。これは、夢の記憶と現実の記憶が混同しないようにするための、いわば安全装置のようなものです。
夢日記をつける行為は、このMCH神経の働きを妨げ、本来は消えるはずだった夢の記憶を無理やり脳に定着させることにつながります。脳の自然な情報整理プロセスに干渉するため、記憶の混乱が生じるのは、ある意味で当然の帰結とも考えられるのです。
したがって、「科学的根拠がないから安全」と判断するのではなく、脳の仕組みから見ても、夢を無理に記憶し続けることには一定のリスクが伴うと理解しておくべきでしょう。
いい夢だけ記録する方法なら安全なのか
「危険なのは悪夢を記録するからで、いい夢だけ記録するなら問題ないのでは?」と考える人もいるかもしれません。楽しい夢や幸せな夢だけを記憶に残せるなら、確かに精神的な負担は少ないように思えます。
しかし、この方法でもリスクを完全に回避することは難しいでしょう。 なぜなら、「いい夢だけを選んで記録しよう」と意識すること自体が、夢への執着を生むからです。その結果、夢を見る能力、つまり夢を記憶する能力そのものが鍛えられてしまいます。
そうなると、たとえ記録するつもりがなくても、強烈な悪夢を見た際に、その内容が鮮明に記憶に残ってしまう可能性が高まります。また、良い夢を見ようと意識しすぎることが、かえって睡眠中の脳を緊張させ、リラックスした深い眠りを妨げることにもなりかねません。
むしろ、良い夢も悪い夢も区別なく、見た夢は自然に忘れていくのが、心身の健康を保つ上では最も理にかなっていると言えるのかもしれません。
夢の中で夢に気づく明晰夢の罠
夢日記を続けていると、「今、自分は夢を見ている」と夢の中で自覚する「明晰夢」を体験しやすくなると言われています。明晰夢の中では、自分の意思で空を飛んだり、行きたい場所へ行ったりと、思い通りの行動ができるため、非常に魅力的な体験に聞こえます。
しかし、この明晰夢にも大きな罠が潜んでいます。 もし、自覚した夢が悪夢だった場合、事態は最悪です。意識がはっきりしている分、ゾンビに追いかけられたり、高い場所から落ちたりする恐怖を、現実さながらの鮮明さで体験することになります。
さらに厄介なのは、「これは夢だ」と分かっているのに、そこから抜け出せないケースがあることです。終わりのない恐怖体験を、ただ意識がはっきりしたまま味わい続けることになり、これは深刻な精神的ダメージにつながりかねません。
明晰夢は、必ずしも楽しくて安全な体験ではないのです。思い通りにコントロールできるというメリットの裏には、コントロール不能な恐怖に囚われるという、重大なリスクが存在することを忘れてはいけません。
夢日記はやめたほうがいいのかの総括
この記事で解説してきた内容を踏まえ、最後に夢日記との向き合い方について要点をまとめます。
- 夢日記には現実と夢の区別がつきにくくなるリスクがある
- 精神的な疲労が蓄積し、睡眠が苦痛になることがある
- 精神崩壊は誇張だが、それに近い体験談は存在する
- 気が狂うという都市伝説は現実との混同から生まれた可能性
- 夢を記録し続けると、夢が詳細かつ長編になる傾向がある
- 便利なアプリは、かえって夢への固執を強める場合もある
- 自己分析や創造性の刺激といったメリットも指摘されている
- 危険性には睡眠や記憶に関する脳の仕組みが関係している
- いい夢だけ記録しても、悪夢を覚えてしまうリスクは残る
- 明晰夢は楽しいだけでなく、恐怖を増幅させる危険も伴う
- メリットとデメリットを慎重に天秤にかける必要がある
- 少しでも不安や異変を感じたら、すぐに中断することが大切
- 夢は忘れることで心身の健康を保つ側面がある
- 無理に記録しようとせず、見た夢は自然に忘れるのが無難
- 万が一、不調が続く場合は専門家への相談も検討する