「正社員登用はやめとけ」と検索しているあなたは、今の働き方や将来のキャリアについて、真剣に悩んでいるのではないでしょうか。
求人票に書かれた「正社員登用あり」という言葉は、果たして信じて良いものなのか。その言葉が嘘で、実は正社員登用制度自体がやばい仕組みだったらどうしよう、という不安もあるかもしれません。たとえ上司から推薦されたとしても、本当に正社員になるのは難しいのではないか、自分には自信がないと感じることもあるでしょう。
この記事では、そうしたあなたの悩みに寄り添い、客観的な情報を提供します。正社員登用される人と、残念ながら正社員登用制度に落ちる人の特徴を比較し、登用される確率や、正社員になることのデメリットも隠さず解説します。
万が一、試験に落ちたら辞めるべきなのか、あるいは円満に正社員化を断る理由はあるのか。正社員になって後悔しないために、今知っておくべき情報を全てまとめました。
- 正社員登用はやめとけと言われる具体的な理由
- 登用制度が信頼できるか見極めるためのポイント
- 登用される人とされない人の決定的な違い
- 後悔しないために自分自身でキャリアを選択する方法
正社員登用はやめとけと言われる主な理由
- なぜ正社員登用制度はやばいと言われるのか
- 正社員登用ありは嘘?その実態とは
- そもそも正社員に登用される確率は?
- 見落としがちな正社員登用のデメリット
- 登用後に正社員になって後悔するケース
なぜ正社員登用制度はやばいと言われるのか
正社員登用制度が「やばい」と言われる背景には、制度を設ける企業側の狙いと、働く側の期待との間に大きなギャップが存在するからです。
企業にとって、この制度は「優秀な人材を低コストで見極められる」という利点があります。非正規雇用として働いてもらい、その働きぶりや人柄をじっくり観察した上で、本当に欲しい人材だけを正社員に引き上げるというわけです。言ってしまえば、企業側には採用のミスマッチを防げるメリットがあります。
しかし、働く側から見れば、これは「いつまでも正社員になれないかもしれない」というリスクと隣り合わせです。企業によっては、初めからほとんど登用する意思がなく、単に非正規雇用の労働者を集めるための「釣り文句」として制度を利用しているケースも存在します。このような状況では、いくら真面目に働いても正社員への道は開かれず、結果的に貴重な時間を失うことになりかねません。
このような理由から、制度の表面的な魅力だけでなく、その裏にある実態を理解しないまま期待を抱くのは危険だと言えるのです。
正社員登用ありは嘘?その実態とは
「正社員登用あり」という記載が、全て嘘であると断定することはできません。実際に、制度を活用して多くの非正規雇用者を正社員として迎え入れている企業も存在します。
ただ、問題なのは、制度が形骸化している、つまり「制度はあるが、実際にはほとんど使われていない」企業が少なくないという事実です。厚生労働省の調査によれば、正社員登用制度を設けている事業所の割合は全体の75%にのぼる一方で、過去1年間に登用実績があったのは、そのうちの37%に過ぎません。
これは、制度を持つ企業の半分以上が、1年間で一人も正社員登用を行っていないことを示唆しています。特に産業別に見ると、その差はさらに顕著になります。
【産業別】正社員登用制度の有無と登用実績
参照:厚生労働省「労働経済動向調査(令和4年2月)の概況」
このように、求人票の言葉を鵜呑みにするのではなく、その企業が実際にどれくらいの登用実績を持っているのかを確認することが、後悔しないための第一歩となります。
そもそも正社員に登用される確率は?
正社員に登用される確率は、企業の姿勢や業界、そして個人の働きぶりによって大きく変動するため、一概に「何パーセント」と断言することは困難です。
前述の通り、厚生労働省のデータでは、制度がある事業所のうち実績があるのは37%でした。これは、そもそも挑戦の機会が巡ってくる可能性が、それほど高くないことを示しています。さらに、登用試験が実施される場合、その合格率は一般的に15~20%程度とも言われています。
これらの情報を踏まえると、非正規雇用で働き始めた人の中から、実際に正社員の座を掴めるのは、ごく一部であると考えられます。
もちろん、これはあくまで平均的な数値です。企業によっては、紹介予定派遣からの登用率が高かったり、特定のスキルを持つ人材を積極的に登用したりするケースもあります。
ただ、漠然と「いつかは正社員に」と考えているだけでは、その道が険しいものであることは間違いありません。確率の低さを理解した上で、それでも目指す価値があるのか、あるいは別の道を探すべきなのかを冷静に判断する必要があります。
見落としがちな正社員登用のデメリット
正社員になることは、安定した雇用や収入、充実した福利厚生など多くのメリットがある一方で、見落としがちなデメリットも存在します。
責任の増加と精神的な負担
正社員になると、非正規雇用の時よりも格段に業務の範囲が広がり、それに伴う責任も重くなります。成果に対するプレッシャーは大きくなり、これまでのように「言われたことだけやっていれば良い」というわけにはいきません。この責任の重さが、精神的な負担としてのしかかってくる可能性があります。
労働時間の増加や転勤の可能性
業務量が増えることで、残業や休日出勤をせざるを得ない状況も増える傾向にあります。また、企業の規模や方針によっては、本人の希望に関わらず、他の部署への異動や、場合によっては転居を伴う転勤を命じられることもあります。プライベートの時間を大切にしたい、特定の地域で働き続けたいと考えている人にとっては、大きなデメリットと感じられるでしょう。
人間関係の複雑化
責任ある立場になることで、これまで以上に多くの人と関わることになります。部下や後輩の指導、他部署との連携、取引先との交渉など、人間関係の悩みが増える可能性も否定できません。
これらのデメリットを理解せずに正社員になると、「こんなはずではなかった」と理想と現実のギャップに苦しむことになりかねません。
登用後に正社員になって後悔するケース
実際に正社員になったものの、「こんなことなら、ならなければよかった」と後悔してしまうケースは、残念ながら少なくありません。
最も多いのが、人間関係の悪化です。紹介予定派遣として働いていたある方は、派遣期間中は優しかった同僚の態度が、正社員になった途端に厳しくなり、精神的に追い詰められてしまいました。事務員が二人きりの職場で、毎日気を遣いながら働く日々に耐えられず、最終的には退職を考えるようになったと言います。
また、期待していたほどの待遇改善がなかった、というケースも考えられます。給与は少し上がったものの、それ以上に業務の責任や労働時間が大幅に増え、時給換算するとかえって条件が悪くなった、という話も耳にします。
他にも、正社員になったことで「簡単なミスが許されない」というプレッシャーに常に晒されたり、会社の業績不振の際に真っ先に異動やリストラの対象になったりするなど、安定を求めて正社員になったはずが、逆に不安定な立場に置かれてしまうこともあります。
このような後悔をしないためには、登用される前に、その職場の実態や登用後の労働条件を、できる限り詳しく把握しておくことが大切です。
正社員登用はやめとけと結論を出す前の判断基準
- 実際のところ登用試験は難しいのか
- 上司に推薦されたら合格は確実?
- 採用される自信がない時のための思考法
- 正社員登用される人と落ちる人の特徴
- 試験に落ちたら辞めるべきか考えるべきか
- 賢く正社員化を断る理由と伝え方
- まとめ:正社員登用はやめとけの真意
実際のところ登用試験は難しいのか
正社員登用試験の難易度は、企業によって大きく異なります。そのため、「絶対に難しい」とも「簡単だ」とも一概には言えません。
一般的に、登用試験では面接の他に、小論文やSPIなどの筆記試験が課されることがあります。これらの試験は、付け焼き刃の知識では対応が難しく、事前の対策が不可欠です。市販の参考書で勉強したり、文章作成の練習をしたりする時間が必要になります。
また、面接では、これまでの業務実績やスキルはもちろんのこと、「なぜこの会社で正社員として働きたいのか」という強い意志や、今後のキャリアプランについて深く問われます。非正規雇用の時とは異なり、より経営的な視点や、会社全体への貢献意識を持っているかが評価の対象となるでしょう。
企業側は、一度正社員として雇用すると簡単には解雇できないため、採用には非常に慎重です。つまり、試験は「この人に長期的に投資する価値があるか」を見極めるための、厳格な選考の場であると認識しておく必要があります。
決して楽な道のりではありませんが、しっかりと対策をすれば乗り越えられない壁でもありません。
上司に推薦されたら合格は確実?
直属の上司から「正社員にならないか」と推薦された場合、大きなチャンスであることは間違いありません。日頃の働きぶりを最も近くで見ている上司からの評価は、選考において強力な後押しとなります。
しかし、注意しなければならないのは、「上司の推薦=合格確実」ではないという点です。
多くの場合、最終的な採用の決定権を持っているのは、現場の上司ではなく、人事部や役員など、さらに上の立場の人々です。現場の上司はあくまで「推薦者」であり、採用の可否を判断する「決定者」ではないのです。
たとえ上司があなたの働きぶりを高く評価してくれていても、人事部が「会社の求めるスキルレベルに達していない」と判断したり、役員が「今は正社員を増やす時期ではない」という経営判断を下したりすれば、不採用となる可能性は十分にあります。
実際に、上司の推薦を受けて試験に臨んだものの、不採用になってしまったというケースは存在します。
したがって、推薦された場合でも決して油断せず、筆記試験や最終面接の対策を万全に行うことが大切です。上司の推薦はあくまでスタートラインに立つための切符だと考え、謙虚な姿勢で選考に臨みましょう。
採用される自信がない時のための思考法
「自分なんて正社員になれるわけがない」と、登用試験を受ける前から自信を失くしてしまう人もいるかもしれません。特に、これまでの経歴にコンプレックスがあったり、周りの同僚が優秀に見えたりすると、気後れしてしまうこともあるでしょう。
しかし、自信がないからといって、挑戦する前から諦めてしまうのは非常にもったいないことです。ここでは、自信がない時に試してほしい思考法をいくつか紹介します。
評価の基準は一つではないと知る
まず理解してほしいのは、企業が人材を評価する基準は、決して一つではないということです。突出したスキルや華々しい実績だけが評価されるわけではありません。
例えば、毎日真面目にコツコツと業務に取り組む誠実さや、職場の人間関係を円滑にするコミュニケーション能力、後輩の面倒をみる思いやりなども、立派な評価ポイントです。あなたにとっては「当たり前」のことでも、会社にとっては「価値ある強み」と映る可能性があります。
小さな成功体験を積み重ねる
自信は、日々の小さな成功体験の積み重ねによって育まれます。まずは「頼まれた仕事を期限内に完璧に仕上げる」「自分から挨拶をする」など、確実に達成できる目標を立てて、それをクリアしていくことから始めてみましょう。一つひとつクリアしていくことで、「自分にもできる」という感覚が芽生え、自己肯定感が高まっていきます。
自信のなさは、多くの場合、自分自身を客観的に見られていないことに起因します。自分の強みを再確認し、小さな成功を積み重ねることで、前向きな気持ちで挑戦できるようになるはずです。
正社員登用される人と落ちる人の特徴
正社員登用という同じ目標を持っていても、実際にその夢を叶える人と、残念ながら見送られてしまう人には、いくつかの明確な特徴の違いが見られます。
正社員登用される人の特徴
登用される人に共通しているのは、まず「仕事をこなす能力の高さ」です。与えられた業務を確実にこなすだけでなく、常に改善を考え、主体的に行動できる人は高く評価されます。
また、社内での人間関係が良好であることも欠かせません。上司や同僚と円滑なコミュニケーションをとり、チームの一員として貢献できる人は、「これからも一緒に働きたい」と思われやすくなります。
さらに、後輩の面倒見が良かったり、周りが困っている時に率先して手を差し伸べたりするなど、周囲への配慮ができる人も、将来のリーダー候補として期待されるでしょう。
正社員登用制度に落ちる人の特徴
一方で、登用が見送られがちな人には、スキルや経験が企業の求める基準に達していない、というケースが多く見られます。また、遅刻や欠勤が多いなど、勤務態度に問題がある場合も評価は厳しくなります。
周囲とのコミュニケーションをあまりとらず、個人プレーに走りがちな人も、「チームワークを乱す可能性がある」と判断されかねません。
最も大切なのは、仕事に対する意欲です。言われたことしかやらない、向上心が見られない、という姿勢では、「正社員として責任ある仕事を任せられない」と思われても仕方ありません。
これらの特徴を参考に、自分自身の働き方を一度客観的に振り返ってみることが、正社員への道を切り拓く鍵となります。
試験に落ちたら辞めるべきか考えるべきか
万が一、正社員登用の試験に落ちてしまった場合、そのショックから「もうこの会社にはいられない」「辞めるべきかもしれない」と考えてしまう人もいるでしょう。
もちろん、会社に居づらさを感じたり、これ以上ここで働き続けるモチベーションを維持できなかったりするのであれば、退職して新しい環境を探すのも一つの選択です。
しかし、一度の不採用で、すぐに「辞める」と決断するのは早計かもしれません。
まず考えるべきは、なぜ不採用になったのか、その理由を冷静に分析することです。もし、スキル不足が原因であれば、非正規として働きながら資格取得を目指したり、経験を積んだりすることで、次回のチャンスに繋がる可能性があります。
また、会社側があなたの働きぶりを評価していないわけではなく、単に会社の経営状況や人員計画の都合で、今回は採用枠がなかったというケースも考えられます。
ですから、落ちたからといって、すぐにその職場を辞める必要は必ずしもありません。非正規雇用のまま同じ職場で働き続け、スキルを磨きながら、改めて転職活動を始めるという選択肢も有効です。そうすれば、収入が途絶えることなく、じっくりと自分に合った転職先を探すことができます。
感情的に判断するのではなく、自分のキャリアにとって何が最善の選択なのかを、長期的な視点で考えることが大切です。
賢く正社員化を断る理由と伝え方
時には、会社から正社員登用を打診されたにもかかわらず、「断りたい」と感じるケースもあるでしょう。その理由は人それぞれですが、決して悪いことではありません。
正社員化を断る主な理由
正社員化を断る理由として多いのは、「ワークライフバランスを重視したい」というものです。正社員になることで残業や休日出勤が増え、プライベートな時間が失われることを懸念する人は少なくありません。
また、「現在のキャリアプランと合わない」という理由も挙げられます。将来的に特定の専門分野でスキルを磨きたい、あるいは別の業界に挑戦したいと考えている場合、その会社で正社員になることが必ずしも最善の道とは限りません。
他にも、職場の人間関係への懸念や、提示された給与・待遇への不満など、断る理由はさまざまです。自分の価値観やライフプランを大切にすることは、キャリアを考える上で非常に重要なことです。
角が立たない断り方のポイント
断る際に大切なのは、会社への感謝の気持ちを伝えつつ、誠実な姿勢で理由を説明することです。
例えば、「この度はお声がけいただき、大変光栄です。自分の働きを評価していただけたこと、心から感謝しております」と、まずは感謝の意を述べます。
その上で、「大変魅力的なお話ではございますが、自身のキャリアプランを熟考した結果、今回はご辞退させていただきたく存じます」というように、あくまで前向きな理由であることを伝えます。個人的な不満やネガティブな理由をストレートに伝えるのは避け、「自分の将来を考えた上での決断である」という点を強調するのがポイントです。
これにより、会社の厚意を無下にしたという印象を与えず、円満な関係を維持したまま、自分の意思を尊重してもらうことができるでしょう。
まとめ:正社員登用はやめとけの真意
この記事では、「正社員登用はやめとけ」という言葉の裏にある様々な事実や注意点について解説してきました。最後に、後悔のないキャリア選択をするための重要なポイントをまとめます。
- 正社員登用はやめとけというのは、制度が形骸化している企業があるため一理ある
- 求人票の「正社員登用あり」は登用を保証するものではない
- 企業の登用実績を事前に確認することが極めて大切
- 制度が「やばい」と言われるのは、企業側の採用戦略が背景にあるから
- 正社員登用される確率は決して高くなく、険しい道であると認識する
- 正社員化には責任増、転勤などのデメリットも存在する
- 登用後の人間関係悪化などで「正社員になって後悔」するケースもある
- 登用試験の難易度は企業によるが、十分な対策が不可欠
- 上司に推薦されても、必ず合格するわけではないと心得る
- 採用される自信がない時は、自分の強みを多角的に見つめ直す
- 登用される人は、能力だけでなく人間性や主体性も評価されている
- 勤務態度が悪かったり、意欲が見えなかったりすると登用は見送られやすい
- 試験に落ちてもすぐに辞める必要はなく、冷静に次の手を考える
- 自分のキャリアプランと合わなければ、正社員化を断る勇気も必要
- 最終的な判断基準は「自分がその会社で、その働き方で幸せか」である