B型事業所やめとけは嘘？後悔しないための全知識

「B型事業所はやめとけ」という言葉を見つけて、今まさに不安な気持ちを抱えていませんか。

インターネット上には、B型事業所はやばい、底辺だといった声や、いじめや子供扱いに関する辛い体験談が溢れています。きついストレスを感じながら働いても、給料は儲かるとは程遠い現実や、働くデメリットについて見聞きすることもあるでしょう。

事業所がおかしいと感じても、作業しない人がいる中で自分だけ頑張ることに疑問を感じたり、いざ辞める手続きを考え始めても、辞めたら無職になるのか、最悪の場合クビになる事はあるのかといった心配が尽きないかもしれません。

この記事では、そんなあなたの悩みや疑問に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。後悔のない選択をするために、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

B型事業所はやめとけと言われる本当の理由

やばい、おかしいと感じる事業所の実態

「B型事業所は、やばい」「運営がおかしい」といった声が聞かれる背景には、一部の事業所が抱える構造的な問題が存在します。その一つが、運営の不透明性です。B型事業所の収入の多くは、国や自治体から支給される「訓練等給付費」という公的な報酬で成り立っています。本来これは利用者の支援を充実させるために使われるべきですが、中には給付金の獲得自体が目的化してしまい、利用者への支援よりも事業所の利益を優先する姿勢が見られるケースも残念ながら存在します。

具体的には、助成金の使途が明確に公開されていなかったり、支援に必要な人員を十分に配置していなかったりする実態が指摘されることがあります。このような事業所では、提供される支援の質が低下し、結果として利用者が「おかしい」と感じる状況が生まれやすくなるのです。

また、職員の専門性や質のバラつきも大きな問題です。障害福祉への深い理解と情熱を持った職員がいる一方で、経験が浅かったり、利用者への配慮が欠けていたりする職員がいる場合、支援が形骸化し、利用者は不信感を抱くことになります。こうした運営や人員の問題が、B型事業所に対するネガティブなイメージの一因となっているのです。

利用者を子供扱いする職員への対処法

B型事業所で不満を感じる原因の一つに、「職員から子供扱いされている」と感じるケースがあります。これは、利用者個々の人格や能力を尊重せず、一律に過度に保護的な、あるいは幼稚な言葉遣いで接する態度を指します。例えば、成人である利用者に対して「〇〇ちゃん」と呼んだり、簡単な作業ができただけで大げさに褒めたり、タメ口で話したりするような行為です。

このような対応が起こる背景には、事業所に様々な障害特性を持つ利用者がいることが関係しています。特に、知的障害を持つ利用者へのコミュニケーション方法が、精神障害や身体障害を持つ他の利用者に対しても無意識のうちに適用されてしまい、結果として「子供扱い」と受け取られてしまうことがあります。

不快に感じた時の具体的な対処法

もし子供扱いされていると感じたら、一人で抱え込まずに行動することが大切です。まずは、信頼できる他の職員や、サービス管理責任者（サビ管）に相談してみましょう。「こういう言動で不快な気持ちになっている」と具体的に伝えることで、事業所側も問題に気づき、改善に向けた対応をとってくれる可能性があります。

直接言いにくい場合は、B型事業所の利用計画を作成してくれている相談支援専門員に相談するのも有効な手段です。相談支援専門員は、あなたと事業所の間に入る中立的な立場から、状況の改善に向けて働きかけてくれます。大切なのは、「自分がおかしいのではないか」と悩まず、尊厳を守るために声を上げることです。

無視できない利用者同士のいじめ問題

B型事業所は多くの人が集まる場所であるため、残念ながら利用者同士の人間関係トラブル、時にはいじめに発展するケースも存在します。共同で作業を行う中で、利用者間の競争意識が過度に高まり、対立が生まれたり、特定の人が仲間外れにされたり、陰口を言われたりすることがあります。

こうしたトラブルの原因は様々です。コミュニケーションの取り方が苦手な人がいたり、障害特性からくる誤解が生じたりすることもあります。また、事業所内の雰囲気が悪く、利用者同士が互いを尊重する環境が整っていない場合にも、いじめは起こりやすくなります。

また、事業所選びの段階で、見学や体験利用を通じて、事業所全体の雰囲気や利用者同士がどのように関わっているかを注意深く観察することも、こうしたトラブルを避けるためには重要です。職員が利用者間の関係性に気を配り、良好な雰囲気作りに努めているかどうかも、良い事業所を見極める上での大切なポイントになります。

B型は儲かる？安すぎる給料の実態

「B型事業所で働いても儲かることはなく、給料（工賃）が安すぎる」という点は、「やめとけ」と言われる最も大きな理由の一つです。実際に、B型事業所から支払われるのは「給料」ではなく「工賃」と呼ばれ、その金額は低い水準にあります。

厚生労働省の調査によると、令和4年度のB型事業所の平均月額工賃は17,031円です。これを時給に換算すると、わずか243円というデータもあります。この金額では、経済的に自立した生活を送ることは極めて困難と言わざるを得ません。

経済的な不安を和らげる方法

B型事業所の工賃だけで生活することは難しいため、多くの利用者は他の経済的な支援制度を併用しています。もし経済的な不安が大きい場合は、以下のような制度が利用できないか検討してみましょう。

• 障害年金：病気やけがによって生活や仕事などが制限される場合に受け取れる年金です。
• 生活保護：様々な理由で生活に困窮している人に対し、国が必要な保護を行う制度です。
• 各種手当や助成：自治体によっては、独自の家賃助成や交通費補助などを行っている場合があります。

これらの制度を利用できるかどうかは、個人の状況によって異なります。まずは、お住まいの市区町村の障害福祉課の窓口や、担当の相談支援専門員に相談してみることをお勧めします。B型事業所の利用とこれらの制度を組み合わせることで、経済的な負担を軽減できる可能性があります。

きついと感じる作業や人間関係のストレス

B型事業所に通う中で、「きつい」と感じるほどのストレスを抱えてしまうこともあります。ストレスの原因は人それぞれですが、主に以下のような要因が挙げられます。

これらのストレスが積み重なると、心身に様々な不調（SOSサイン）が現れることがあります。例えば、朝起きるのが辛い、夜眠れない、頭痛や胃痛が続く、イライラしやすくなる、好きだったことに興味がなくなる、といったサインです。

ストレスをゼロにすることは難しいかもしれませんが、その原因を理解し、適切に対処することで、より快適に事業所を利用することは可能です。自分なりのリフレッシュ方法を見つけたり、信頼できる人に話を聞いてもらったりすることも、ストレスと上手に付き合っていくために非常に重要です。

B型事業所はやめとけと決める前に考えること

B型で働くデメリットと将来への不安

B型事業所の利用を続けるか辞めるか考える上で、改めて働くデメリットと、そこから生じる将来への不安を整理しておくことが重要です。これまでの見出しで触れてきた内容と重なる部分もありますが、冷静に自身の状況と照らし合わせてみましょう。

特に、「このままずっとB型事業所に通い続けて、自分の将来はどうなるのだろうか」という不安は、多くの利用者が抱える共通の悩みです。一般就労を目指したいと考えている場合、B型事業所の支援だけでは不十分だと感じ、焦りが募ることもあるでしょう。

しかし、B型事業所はあくまで選択肢の一つです。もし、現在の事業所が自分の目標（例えば、スキルアップや一般就労）と合っていないと感じるなら、それは次のステップに進むべきサインかもしれません。B型事業所での経験を土台として、より一般就労に近い「就労継続支援A型」や、就職のための具体的な訓練を行う「就労移行支援」といった他の福祉サービスに移行することも可能です。今の場所で不安を抱え続けるのではなく、自分の将来を見据えて、他の選択肢を積極的に検討することが大切です。

B型事業所は底辺で無職扱いなのか

インターネット上などでB型事業所が「底辺」と表現されたり、利用していると「無職」扱いされたりするのではないか、という不安を持つ方がいます。しかし、これらの見方は大きな誤解に基づいています。

まず、「底辺」という言葉は、B型事業所の役割や価値を全く理解していない表現です。B型事業所は、様々な障害や病気が理由で、すぐに一般企業で働くことが難しい方々にとって、自分のペースで社会参加し、働く喜びや生活リズムを取り戻すための非常に重要な場所です。決して、能力や価値が低い人の集まりではありません。

もし周囲から「無職だ」といった心ない言葉を言われたとしても、気にする必要はありません。あなたは、社会福祉制度に基づいた公的なサービスを利用して、社会参加と自立に向けた努力を続けているのです。その事実に自信と誇りを持ちましょう。「底辺」や「無職」といった誤ったレッテルに惑わされず、自分自身の価値を正しく認識することが大切です。

作業しない人はどうなる？利用者の実情

「B型事業所には、ほとんど作業しない人がいる」という話を聞いたことがあるかもしれません。実際に、B型事業所は雇用契約を結んでいないため、利用者が作業をするかどうかは本人の意思に委ねられており、作業を強制されることはありません。

体調が優れない日や気分が乗らない日に、作業を休んで休憩スペースで過ごすことは認められています。事業所に来て、その場にいるだけでも生活リズムを整える訓練になる、という考え方もあるからです。

しかし、これは「全く何もしなくても永久に利用し続けられる」という意味ではありません。長期間にわたって全く作業をする意思が見られない場合、事業所側との間で話し合いが行われる可能性があります。

「作業しない人」がいること自体は、B型事業所の特性上あり得ることです。ですが、もしあなたが真面目に作業に取り組んでいる中で、そうした人の存在が不公平に感じたり、ストレスになったりする場合は、その気持ちを職員に伝えてみてもよいでしょう。あなたの頑張りを正当に評価し、より意欲的に活動できる環境を整えてもらうための相談は、決して悪いことではありません。

B型事業所でクビになる事はあるのか

「何か問題を起こしたらB型事業所をクビになるのではないか」と心配される方がいますが、結論から言うと、B型事業所に「クビ（解雇）」という概念はありません。なぜなら、利用者と事業所の間には雇用契約が存在しないからです。解雇は、雇用関係にある労働者に対して行われるものです。

しかし、これは「何をしても利用を続けられる」という意味ではありません。「クビ」という形ではありませんが、事業所の利用契約を解除され、事実上、通えなくなるケースは存在します。

利用契約の解除に至る可能性があるのは、以下のような重大な規約違反が繰り返された場合です。

これらの行為は、本人だけの問題ではなく、他の利用者が安心して過ごす権利を侵害する重大な問題です。そのため、事業所は、注意や指導を繰り返しても改善が見られない場合、最終的な手段として利用契約の解除という判断を下すことがあります。

後悔しないための円満な辞める手続き

様々な理由からB型事業所を辞める決断をした場合、できるだけ円満に、そしてスムーズに手続きを進めたいものです。辞めることは利用者の権利であり、特別な許可は必要ありませんが、社会人としての一つのステップとして、適切な手順を踏むことをお勧めします。

一般的な辞める手続きの流れは以下の通りです。

１．辞める意思を伝える

まずは、事業所のサービス管理責任者や施設長など、責任のある立場の職員に「辞めたい」という意思を明確に伝えます。伝えるタイミングについては、事業所の利用契約書に「退所を希望する場合は〇日前までに申し出ること」といった規定がある場合が多いので、事前に確認しておきましょう。突然「明日から来ません」と伝えるのではなく、余裕を持って伝えるのがマナーです。

２．退所に関する手続き

事業所によっては、退所届などの書類を提出する必要がある場合があります。職員の指示に従い、必要な書類に記入・提出します。この際に、辞める理由を聞かれることもありますが、正直に話せる範囲で伝えれば問題ありません。

３．引き継ぎと私物の整理

もし担当していた作業で引き継ぎが必要なものがあれば、きちんと行いましょう。また、事業所に置いている私物はすべて持ち帰り、ロッカーなどをきれいに整理します。事業所から借りていた備品があれば、忘れずに返却してください。

B型事業所は、あなたにとって次の一歩に進むための通過点です。お世話になった感謝の気持ちを伝えつつ、自信を持って次のステップへと進みましょう。

B型事業所やめとけの総括

この記事では、B型事業所はやめとけという言葉の背景にある様々な問題や、利用者が抱える悩みについて詳しく解説してきました。

最後に、あなたが後悔のない決断をするための重要なポイントをまとめます。