CGデザイナーはやめとけ？現役のリアルと将来性

「CGデザイナーはやめとけ」という言葉をインターネットで見かけ、将来に不安を感じていませんか。CGデザイナーという職業に憧れを抱きつつも、そのデメリットや厳しい現実についての情報を目にすると、一歩を踏み出すのをためらってしまうかもしれません。実際のところ、CGデザイナーの仕事内容は本当に楽しいのか、向いてる人はどんな特徴があるのか、気になりますよね。

また、CGデザイナーになるには専門的な資格が必要なのか、絵が下手でも挑戦できるのか、といった具体的な疑問もあるでしょう。さらに、業界の年収水準や、一部で囁かれる底辺という噂、そして経験者がやめた本音も知りたいところです。近年では、AIの進化によって仕事がなくなるのではないかという懸念や、そもそもホワイト企業は存在するのか、といったキャリアに関する不安も尽きないはずです。

この記事では、そうした漠然とした不安や疑問を解消するため、CGデザイナーという職業のリアルな実態を多角的に掘り下げていきます。

CGデザイナーはやめとけと言われる5つの理由

CGデザイナーのデメリットと底辺と言われる実態

CGデザイナーが「やめとけ」と言われる最も大きな理由は、その過酷な労働環境にあります。特に、映像業界やゲーム業界ではプロジェクトの納期が非常に厳しく、長時間労働が常態化しやすい傾向が見られます。駆け出しの頃は、月収が低いにもかかわらず、休日返上で作業に追われることも少なくありません。

実際、経験者からは「一番酷い時は、1ヶ月ぶっ続けで始発帰りだった」という声も聞かれます。このような状況では、プライベートな時間を確保することが難しく、心身ともに疲弊してしまう可能性が高いです。

さらに、業界の多重下請け構造も、労働環境を厳しくする一因です。クライアントから直接仕事を受ける一次請けの会社はまだしも、二次請け、三次請けと下層に行くほど予算は削られ、低賃金で厳しい要求に応えなければならないケースが増えます。こうした状況から「CGデザイナーは底辺の仕事だ」というイメージが生まれてしまうのです。

また、クライアントの要望が曖昧であったり、納期直前で大規模な修正指示が入ったりすることも日常茶飯事です。これにより、精神的なプレッシャーは常に付きまといます。自分の創造性を発揮したくても、まずはクライアントの要求に応えることが最優先されるため、理想と現実のギャップに苦しむデザイナーは少なくありません。

経験者が語るやめた後のリアルな本音

CGデザイナーという仕事を「やめた」人々の本音には、単なる労働環境の厳しさだけではない、キャリアに対する深い悩みが見え隠れします。多くの人がやりがいを感じてこの世界に飛び込みますが、数年経つうちに現実的な壁に直面するのです。

一つの大きな理由が、キャリアアップに伴う業務内容の変化です。経験を積んでチームリーダーなどの役職に就くと、自身で手を動かして制作する時間が減り、打ち合わせやスケジュール管理、メンバーの成果物チェックといったマネジメント業務が中心になります。

このように、制作そのものが好きで業界に入った人にとって、管理業務へのシフトはモチベーションの低下に直結することがあります。

もう一つのリアルな本音は、金銭的な問題です。同年代の他業種、特にITエンジニアなどと比較した際に、年収の伸び率に大きな差を感じてしまうことがあります。CG業界は転職によって年収を上げるのが一般的とも言われますが、そもそも求人サイトでの扱いが小さく、キャリアパスを描きにくいという現実もあります。好きを仕事にしたはずが、将来の生活設計を考えた時に不安が大きくなり、業界を去る決断をする人もいるのです。

CGデザイナーの気になる平均年収と給与

CGデザイナーの年収は、厚生労働省の職業情報提供サイト『jobtag』によると平均で509.3万円とされています。これは日本の平均年収を上回る水準ですが、この数字だけを見て安心するのは早計です。なぜなら、CGデザイナーの年収は個人のスキル、経験、働く環境によって非常に大きなばらつきがあるからです。

一般的な会社員のCGデザイナーの場合、年収は300万円〜500万円程度がボリュームゾーンとされています。特にキャリアの浅い20代前半では、平均年収が300万円に満たないことも珍しくありません。

一方で、この業界は完全な実力社会です。高い専門スキルを持ち、ヒット作に関わった経験のあるデザイナーや、フリーランスとして独立して成功している人の中には、年収1,000万円以上を稼ぐ人も存在します。

年代別の平均年収推移

経験年数に応じて年収が上がる傾向はありますが、年齢が上がれば自動的に給与が増えるわけではなく、あくまで実力が伴ってこそです。以下は、ある調査による年代別の平均年収の目安です。

結局のところ、給与は「自分のスキルと実績がどれだけ市場価値を持つか」で決まります。安定した給与を求めるのであれば、常にスキルを磨き、キャリアを戦略的に考える姿勢が不可欠です。

3DCGデザイナーの具体的な仕事内容

CGデザイナーの仕事と一言で言っても、その制作工程は非常に細分化されており、大規模なプロジェクトでは各工程を専門のデザイナーが分業して担当します。ここでは、代表的な3DCGの仕事内容を工程順に解説します。

① モデリング（Modeling）

デザイン画（三面図など）を基に、専用のCGソフトを使ってキャラクターや背景、アイテムなどの立体的な形状（モデル）を作り出す工程です。この工程を担当するのが「モデラー」で、作品の土台となる形を作る非常に重要な役割を担います。

② テクスチャリング（Texturing）

モデリングされた立体物に、色や質感を設定していく作業です。例えば、キャラクターの肌の質感、服の布地の模様、金属の光沢や錆などを、画像を貼り付けたり（テクスチャマッピング）、パラメータを調整したりしてリアルに表現します。「テクスチャデザイナー」が担当します。

③ リギング（Rigging）

作成したモデルを動かすための「骨（ボーン）」や関節の仕組みを設定する工程です。キャラクターが自然な動きをするためには、このリギングが非常に重要になります。「リガー」と呼ばれる専門家が担当し、時にはプログラミングの知識も求められます。

④ アニメーション（Animation）

リギングされたモデルに、実際に動きをつけていく作業です。キャラクターの歩き方や表情の変化、爆発のエフェクト、カメラワークなど、映像内で動くものすべてに生命を吹き込みます。「CGアニメーター」の腕の見せ所であり、観察力や表現力が問われます。

⑤ ライティング・レンダリング（Lighting / Rendering）

最後の仕上げの工程です。作成したCG空間に光源を配置し、光の当たり方や影の落ち方を調整して、シーン全体の雰囲気を演出するのがライティングです。そして、これまでの全データをコンピュータに計算させ、最終的な1枚の画像や映像として出力する処理がレンダリングです。

AIの進化で仕事がなくなるという噂は本当か

近年、画像生成AIの急速な進化により、「AIに仕事が奪われるのではないか」という不安の声がCGデザイナーの間でも聞かれます。結論から言うと、CGデザイナーの仕事が完全になくなる可能性は低いですが、仕事内容は大きく変化していくと考えられます。

確かに、簡単なモデリングやテクスチャの自動生成、ラフスケッチからのCG画像化など、これまで人間が時間をかけて行っていた単純作業や補助的な作業は、AIによって効率化されていくでしょう。これは、デザイナーがより創造的な作業に集中できる時間が増えるというメリットにも繋がります。

しかし、AIにはできない、人間にしかできない領域も明確に存在します。

つまり、これからのCGデザイナーは、単にツールを操作するだけの「オペレーター」ではなく、AIを使いこなしながら、人間ならではの付加価値を提供できる「クリエイター」としての役割がより一層強く求められます。

常に新しい技術を学び、AIにはない自分の強みを磨き続けることが、この先も活躍し続けるための鍵となるでしょう。

CGデザイナーはやめとけという言葉を覆す為には？

未経験からCGデザイナーになるには

未経験からCGデザイナーを目指す道は、一つではありません。主に3つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットが存在するため、自分の状況や目標に合わせて最適なルートを選択することが重要です。

① 独学でスキルを習得する

書籍やオンライン教材、チュートリアル動画などを活用して、自分のペースで学習する方法です。最大のメリットは、費用を安く抑えられる点と、時間や場所に縛られずに学べる点です。一方で、モチベーションの維持が難しく、疑問点をすぐに解決できない、体系的な知識が身につきにくいといったデメリットがあります。また、業界で通用するレベルのポートフォリオ（作品集）を一人で作り上げるのは、相当な努力と根気が必要です。

② 制作現場でアシスタントとして働く

アルバイトや契約社員として制作会社に入り、実務を通してスキルを学ぶ方法です。プロの仕事を間近で見ながら実践的なスキルを学べるのが最大の魅力です。給料をもらいながら学べる点もメリットと言えるでしょう。ただし、未経験者を採用してくれる会社は限られており、最初は雑用などが多く、本格的な制作に携わるまでには時間がかかる可能性があります。

③ 専門学校やスクールに通う

CGデザインに特化したカリキュラムを持つ専門学校やオンラインスクールで学ぶ方法です。体系的に整理された知識と技術を効率的に学べるのが最大の利点です。現役のプロから直接指導を受けられたり、就職サポートが充実していたりすることも多く、業界への近道と言えます。デメリットは、他の方法に比べて費用が高額になる点です。

必須ではないが有利になる資格とは

CGデザイナーになるために、必須となる資格や免許は一切ありません。この業界は徹底した実力主義であり、学歴や資格よりも、ポートフォリオで示される個人のスキルやセンスが最も重視されます。

ただし、資格の取得が無意味というわけではありません。特定の資格を持っていることで、自身のスキルレベルを客観的に証明できたり、体系的な知識を身につけていることのアピールになったりするため、就職や転職活動において有利に働く可能性があります。

未経験から目指す方にとっては、学習の目標設定や知識の整理にも役立ちます。以下に、CGデザイナーの仕事に関連する代表的な資格を紹介します。

絵が下手でもCGデザイナーは目指せる

「絵心がないからCGデザイナーは無理だろう」と諦めている方がいるかもしれませんが、結論から言うと、いわゆるイラスト的な絵が下手でもCGデザイナーになることは十分可能です。

なぜなら、手書きのイラストレーションとCG制作で求められるスキルは、似ているようで異なる部分が多いからです。CG制作、特に3DCGのモデリング作業は、粘土で造形する感覚に近く、絵を描くというよりは立体を構築していく作業です。CGソフトが光や影の計算を自動で行ってくれるため、手書きで陰影を描くスキルは必ずしも必要ありません。

もちろん、観察力や立体を正確に捉える力、いわゆる「デッサン力」は非常に重要です。対象物がどのような構造になっているかを理解し、それをCG空間で再現する能力は、作品のクオリティに直結します。しかし、このデッサン力は、必ずしも鉛筆で美しい絵を描ける能力とイコールではありません。多くのCGデザイナーは、絵を描くこと自体は苦手でも、優れた観察眼とツールを使いこなす技術で、リアルなCGモデルを制作しています。

絵が上手であるに越したことはありませんが、それがCGデザイナーになるための絶対条件ではないのです。絵が下手だと感じていても、立体物を観察したり、プラモデルを作ったりするのが好きなのであれば、CGデザイナーの素質は十分にあると言えるでしょう。

CGの仕事が楽しいと感じる向いてる人の特徴

過酷な側面もあるCGデザイナーの仕事ですが、多くの人が「楽しい」「やりがいがある」と感じて仕事を続けています。では、どのような人がこの仕事に向いているのでしょうか。単に「絵を描くのが好き」「ゲームが好き」というだけでは乗り越えられない壁があるため、より深い適性が求められます。

以下に、CGデザイナーに向いている人の特徴を挙げます。

① 圧倒的な探求心と向上心がある人

CG技術は日進月歩で進化しています。新しいソフトウェアや表現技法が次々と登場するため、常に学び続ける姿勢が不可欠です。昨日まで最先端だった技術が、今日には古くなっていることも珍しくありません。このような変化を楽しび、自ら新しい情報をキャッチアップし、スキルを磨き続けられる人は、この業界で長く活躍できます。

② 地道な作業を続けられる忍耐力と集中力がある人

完成したCG映像は華やかに見えますが、その制作過程は非常に地道な作業の連続です。何時間もPCの画面と向き合い、モデルの頂点を一つひとつ調整したり、アニメーションのフレームを1コマずつ修正したりといった、根気のいる作業を苦にしない集中力が求められます。派手さよりも、コツコツとクオリティを積み上げていく過程に喜びを見出せる人が向いています。

③ 論理的思考力と観察力がある人

CG制作はクリエイティブな仕事であると同時に、非常にロジカルな側面も持ち合わせています。物がなぜそのように見えるのか、光はどう反射するのか、人体の構造はどうなっているのかといった、物事の構造を論理的に理解し、それを再現するための観察力が重要です。漠然としたイメージを、具体的なデータと手順に落とし込んで形にする力が求められます。

CG業界のホワイト企業の見つけ方

「CG業界はブラック」というイメージが強いかもしれませんが、全ての企業がそうであるわけではなく、労働環境の改善に努める、いわゆる「ホワイト企業」も存在します。しかし、そうした企業を見つけるには、求人票の表面的な情報だけでなく、多角的な情報収集が不可欠です。

以下に、比較的労働環境が良いとされる企業を見つけるためのポイントをいくつか紹介します。

① 大手企業や自社コンテンツを持つ企業を狙う

一般的に、ゲーム業界や映像業界の大手企業は、福利厚生が充実しており、コンプライアンス意識も高い傾向にあります。任天堂やバンダイナムコホールディングスのように、自社で強力なIP（知的財産）を持っている企業は経営が安定しており、社員への待遇も良いことが多いです。下請けの仕事が中心の会社よりも、こうした一次請けや自社開発の企業を目指すのが一つの方法です。

② 口コミサイトや転職エージェントを活用する

OpenWorkなどの社員による口コミサイトで、残業時間や有給消化率、社内の雰囲気といった内部のリアルな情報を確認しましょう。また、クリエイター専門の転職エージェントに登録するのも有効です。エージェントは企業の内部事情に詳しいことが多く、個人の希望に合った、労働環境の良い求人を紹介してくれる可能性があります。

③ 求人情報でチェックすべきポイント

求人票を見る際は、以下の点に注意してください。

大切なのは、給与や知名度だけで判断しないことです。自分のキャリアプランとライフスタイルに合った、長く働き続けられる環境を見つけることが、この業界で成功するための重要な要素となります。

CGデザイナーはやめとけと言われる理由の総括

この記事では、「cgデザイナー やめとけ」と言われる理由から、仕事のリアル、将来性、そして成功への道筋までを解説してきました。厳しい現実がある一方で、それを補って余りある魅力と可能性に満ちた仕事であることもご理解いただけたかと思います。

最後に、この記事の要点をまとめます。

もしあなたが、この記事で紹介した全てのデメリットを理解し、それでもなお「自分はこの世界で生きていきたい」と強く思えるのであれば、その情熱こそが最大の才能です。

ぜひ、その一歩を踏み出してみてください。