試合に出れない子どもを前にしたとき、親や指導者がどんな言葉をかけるかは、その子の心の成長やメンタルの安定に、本当に大きく影響しますよね。その後のスポーツへの向き合い方、さらには人生における困難への対処法にまで影響を与える、非常にデリケートな問題だと思います。
試合に出れない子にかける言葉の本質は、単に結果を責めたり、表面的な励ましを送ったりすることではありません。むしろ、その子の努力の「過程」や、言葉にできない「感情」を正確に認め、深く寄り添うことにあるんです。
試合に出れない子の親が理解すべきは、子どもの悔しさの裏にある「これだけ頑張った自分を認めてほしい」という切実な想い。コーチに聞く声掛けのタイミングや、バスケ・サッカー・野球など、それぞれの競技特性に応じた対応方法を知ることで、子どもの自己肯定感を本当に高める声掛けができるようになります。
もし「辞める」と言い出したときも、親として焦る気持ちをぐっとこらえ、まずはその感情を受け止め、整理する時間を与えることが、子どもが再び前向きな一歩を踏み出すための大切なプロセスになります。
- 試合に出れない子の親が理解すべきメンタルの支え方
- コーチに聞く正しい声掛けのタイミングと寄り添い方
- バスケ・サッカー・野球で一人だけ出られない子への対応方法
- 言ってはいけない言葉と子供の自己肯定感を上げる声掛けのコツ
試合に出れない子にかける言葉の基本と考え方

試合に出れない子どもを支えるためには、ただ「頑張れ」と励ますだけではなく、その子の心の微妙な動きやサインをキャッチし、深く理解し、寄り添う姿勢が何よりも欠かせません。
ここでは、親として、あるいは指導者として、具体的にどのように関わっていくべきか、その核心部分を見ていきたいと思います。子どもの気持ちを理解するという視点から、コーチに聞くべき声掛けのタイミング、繊細なメンタルの支え方、うっかり使ってしまいがちなNGワード、そして子どもの自己肯定感を育む声掛けの具体的なコツまで、順を追って詳しく解説していきますね。
試合に出れない子の親が理解すべき気持ちとは
試合に出れない子どもは、表面上は平静を装ったり、ふてくされたりしていても、内心では「悔しい」「情けない」「自分だけ認めてもらえない」という、渦巻くような強い感情を抱えていることがほとんどです。
親がまず理解すべきなのは、その感情が単純な“結果への不満”というより、“自分の存在価値への揺らぎ”から生まれている可能性が高いという点ですね。
「自分はチームに必要なんだろうか」「努力の方向が間違っているんだろうか」…。これまで一生懸命に努力してきたのに出場できないという現実は、子どもの自己肯定感を大きく揺るがします。
だからこそ、親が「もっと頑張りなさい」「次は出られるよ」といった励ましを軽い言葉でかけると、それは「今の頑張りじゃ足りないよ」というメッセージとして受け取られ、かえってプレッシャーや深い孤独感を強めてしまうことがあるんです。
たとえば「あなたの努力を見ているよ」「練習でのあの動き、すごく集中してたね。確実に力になっているよ」と、具体的な事実を言葉にして伝えること。そうすることで、子どもは“自分の価値は試合の出場の有無では決まらないんだ”と感じ、安心できます。
親が子どもの気持ちに寄り添うことは、単なる慰めではなく、次への意欲を生み出すための、最も重要な土台づくりになります。
さらに、子どもの悔しさそのものを否定せず、「それだけ悔しいのは、本気で取り組んでいる証拠だね」と共感することも非常に重要です。
この一言があるだけで、子どもは「自分のこの感情は間違ってないんだ」と受け止めてもらえたと感じ、心の整理がつきやすくなります。親が理解すべきは、励ましやアドバイスよりも、まず「共感」が先であるということ。その感情に寄り添う姿勢こそが、次の挑戦へとつながる心の土台をつくるんですね。
コーチに聞く子供への声掛けの正しいタイミング
子どもが試合に出れなかった直後は、悔しさや興奮、あるいは落ち込みで、どんな言葉も届きにくいタイミングです。多くのコーチや指導者が共通して挙げるのは、「感情が昂ぶっている時や、逆に落ち込んで心を閉ざしている時に励ますのは逆効果」だということですね。
子どもが悔しさでいっぱいの状態では、どんなポジティブな言葉も“上辺だけの慰め”としてしか受け取れず、反発したり、さらに落ち込みを深めてしまったりする可能性があります。
では、正しい声掛けのタイミングはいつか?
それは、子ども自身が少し冷静さを取り戻し、話を受け入れる心の余裕ができた瞬間です。
試合直後や帰りの車の中などでは、無理に「今日の試合どうだった?」と聞いたり、「元気出しなよ」と励ましたりせず、まずは「お疲れ様。今日は疲れたね」「頑張ったね。まずはゆっくり休もう」と、労いの言葉を短くかける程度にとどめ、感情の整理を静かに待つことが大切です。
その後、家庭でお風呂に入ってリラックスしている時や、寝る前、あるいは全く関係ない話をしている時などに、子どもがふと「今日さ…」と話し始めたら、それが本当の対話のチャンスです。
また、コーチたちは「励ます前に、まず徹底的に『聞く姿勢』を持つこと」が最も効果的だと指摘します。
子どもが「なんで自分だけ出られなかったんだろう」「練習ではうまくいってたのに」といった思いをぽつりぽつりと口にしたとき、すぐに「そんなことないよ」「監督の考えがあるんだよ」とアドバイスで遮るのではなく、まずは「うん、うん」「そう感じたんだね」と、しっかり最後まで聞き切ることが、親子の信頼関係を何よりも強く育てます。
その上で、「そう感じられるのは、本気で取り組んでいる証拠だね」「その悔しい気持ちがあるからこそ、次に絶対成長できるよ」と、努力してきた事実と、今感じている感情の両方をセットで認めてあげるのが理想的です。
つまり、声をかけるタイミングとは“親が励ましを届けたい瞬間”ではなく、“子どもが受け取る準備ができた瞬間”を見極めること。このタイミングを誤らないことが、言葉の力を最大限に活かすための鍵になるんですね。
試合に出れない子のメンタルを守る寄り添い方

試合に出れない状況が続くと、子どもの心は私たちが想像する以上に揺れ動きます。努力しても報われないと感じる現実に直面し、自分の存在価値そのものを疑ってしまうことも少なくありません。そんな時、親や指導者ができる最も大切なことは、「励ます」ことよりも「寄り添う」ことです。
子どものメンタルを守るためには、まず家庭が「結果に関わらず、ありのままの自分を受け入れてくれる安全な場所(セーフティネット)」であると子どもが確信できること、つまり安心できる居場所をつくることが何よりも重要です。
まず意識したいのは、徹底した「話を聞く姿勢」です。子どもが不満や悔しさ、あるいは「もう辞めたい」といった言葉を口にした時に、「そんなこと言わないで」「次頑張ろう」とすぐに励ましたり、話をすり替えたりするのではなく、一度その言葉や感情を丸ごと受け止めることです。
「そうか、そんな風に感じたんだね」「それだけ頑張ってきたもんね」と共感するだけで、子どもの心は少しずつ落ち着いていきます。この「ジャッジしない共感のひと言」が、孤独感や劣等感を和らげる鍵になります。
また、メンタルを守る上で絶対に避けたいのが、「比較しないこと」です。親が他の子と比べるような言葉(「〇〇くんは出てるのに…」「〇〇ちゃんはあんなに頑張ってるよ」)をかけると、子どもは「自分は親の期待に応えられていないダメな子だ」と感じ、自信を失い、心を閉ざしてしまいます。
そうではなく、「あなたの良さはここにあるよ」「最近、あの練習をすごく集中してやってるね」と、その子自身の努力や成長の「過程」に焦点を当てることが何よりも大切です。
試合に出られない期間は、苦しい時間であると同時に、物事を客観的に見る目や、仲間のために行動できる利他性、基礎練習に黙々と取り組む忍耐力を育てるチャンスの時間でもあります。スポーツ庁の指針でも、勝ち負けにこだわるよりも上達や努力の過程を重視することが、子どもの「運動有能感」や「レジリエンス(心の回復力)」を育むとされています。(出典:日本スポーツ協会『発育期のスポーツ活動ガイド』)
焦らず、心のエネルギーを溜める大切な時期として、どっしりと支えていきましょう。
言ってはいけない言葉とその理由を知る
子どもが試合に出られなかった時、親やコーチが励ますつもりでかけた何気ない一言が、子どもの心を深く傷つけてしまうことがあります。よかれと思って言った言葉が、逆効果になってしまうんですね。
特に注意すべきは、以下のような言葉です。
- 「次は出られるよ」「次こそ頑張れ」
- 「もっと頑張ればいいじゃない」
- 「何で出られなかったと思う?」
- 「ドンマイ!」「気にするな!」
一見、前向きな励ましのように聞こえますが、これらの言葉は子どもに「今の自分は認められていない」「今の努力は足りない」と感じさせてしまう危険性があります。
なぜこれらの言葉がNGなのか?
試合に出られない状況で子どもが求めているのは、未来への根拠のない期待やアドバイス、評価ではなく、「今の自分の悔しさへの理解と共感」だからです。
- 「次は出られるよ」:根拠のない期待は、もし次も出られなかった時に、「親の言うことは嘘だった」という不信感や、「やっぱり自分はダメだ」という二重の失望につながります。
- 「もっと頑張ればいい」:すでに限界まで頑張っている子どもにとっては、「今の頑張りを全否定された」と聞こえ、「自分の努力は足りなかったのか」と自信を奪う結果になります。
- 「何で出られなかったの?」:原因を追及するように聞こえ、子どもにとっては責められている印象を与えます。そもそも、その答えは子ども自身が一番知りたい、あるいはコーチに聞けずに悩んでいる核心部分かもしれません。そこを親に詰め寄られると、逃げ場がなくなってしまいます。
- 「ドンマイ!」「気にするな!」:悔しさを感じている子どもの感情にフタをする言葉です。「気にするな」と言われても、本人はものすごく気にしています。感情を否定されると、子どもは「親にはこの気持ちは分からないんだ」と心を閉ざしてしまいます。
代わりに意識したいのは、「今のあなたを認める」言葉です。「よく頑張ってたね」「悔しいのに、最後まで仲間の応援してたね」「あの練習、集中してたよね」など、努力の「過程」やプレー以外の「行動」を評価する言葉は、子どもの心を前向きにします。
大切なのは“結果を見て評価する”のではなく、“過程を見て認める”こと。励ますつもりの一言が、取り返しのつかないプレッシャーになってしまわないよう、言葉の選び方には最大限の丁寧さを持っていたいですね。
子供の自己肯定感を上げる声掛けのコツ
自己肯定感は、子どもが困難にぶつかっても立ち上がり、挑戦し続ける力の源です。試合に出られない苦しいときこそ、この自己肯定感を丁寧に育てる声掛けが欠かせません。
ポイントは、「評価」ではなく「認知」と「共感」を意識することです。
「評価」(例:「うまいね」「すごいね」)は他者基準であり、常に他人や過去の自分と比較されます。一方、「認知」(例:「あのパスの判断、良かったね」「最後まで諦めなかったね」)は事実の承認であり、子どもの内側から「自分は見てもらえている」という自信が湧いてきます。
子どもがどんな小さな努力をしているか、どんな行動をしているかを具体的に「認知」する言葉が、心に絶対的な安心と自信を与えます。
自己肯定感を上げる声掛けの具体例
- 「今日の練習、最後まであきらめなかったね」(行動の認知)
- 「ベンチからも一番声を出してて、かっこよかったよ」(貢献の認知)
- 「悔しいって思えるのは、それだけ真剣にやっている証拠だね」(感情の共感と肯定)
- 「あなたがチームにいるだけで、雰囲気が明るくなるよ」(存在そのものの肯定)
特に、「存在そのものを肯定する言葉」は非常に強力です。スポーツの成果(Doing)と、その子の存在価値(Being)を切り離してあげる必要があります。
「試合に出られても出られなくても、あなたが私たちの大切な家族であることは、1ミリも変わらないよ」
この無条件の愛を伝えることが、子どもの自己肯定感の最大の土台になりますね。
さらに重要なのは、先ほども触れた「感情に寄り添いながら肯定すること」。「悔しい」というネガティブに思える感情も、「それだけ本気なんだね」と肯定的に捉え直してあげることで、子どもは“悔しさを前向きに変える力(レジリエンス)”を獲得していきます。
自己肯定感は、一度上がっても、試合に出られないといった経験で簡単に揺らぐものです。だからこそ、日常的に小さな「認知」と「共感」の言葉で支え続けることが、子どもが再び顔を上げて挑戦するエネルギーになるのです。
試合に出れない子にかける言葉の実践と事例紹介

スポーツの現場では、試合に出られない子どもたちが抱える悔しさや孤独感は、私たちが思う以上に深く、時に深刻です。しかし、親や指導者の言葉ひとつで、その後の成長が大きく変わるのも事実です。
ここからは、より実践的に、実際の競技ごとに状況別の声掛けや対応方法の例を紹介します。バスケで一人だけ出れない子、サッカーでなかなか出番がない子、野球でずっとベンチが続く子、それぞれのケースに合った寄り添い方を見ていきましょう。
さらに、「もう辞める」と子どもが言い出した時のシビアな対応や、その強い悔しさを前向きな力へ変えるための具体的なサポートの仕方まで、実践的な言葉のかけ方を具体的に解説していきます。
バスケで一人だけ出れない子への声掛け例
バスケットボールは、チームワークが非常に重要なスポーツでありながら、コートに立てる人数が5人と限られているため、「一人だけ出られない」という残酷な状況が生まれやすい競技です。
特に接戦で最後まで出番がなかった時や、自分以外の同学年が全員出場した時などは、子どもの心のダメージは計り知れません。「自分だけ仲間外れにされた」「努力が無駄だった」と感じやすく、チームメイトの活躍を素直に喜べず、周囲の視線やチーム内の空気に過敏になってしまいます。
そんな繊細な状況では、親や指導者の声掛けが心の支えになるだけでなく、その後のモチベーションを大きく左右します。
まず意識したいのは、「孤立感を和らげる言葉」をかけることです。
バスケでの声掛け例
- 「今日はベンチでもチームを支えていて偉かったね」
- 「一人だけ出られなかったけど、あなたの『ナイスプレー!』って声掛けが、コートのみんなを助けてたよ」
- 「試合中、相手のファウルの数、しっかり覚えててくれて助かったよ」
バスケでは試合中の応援や、ベンチでのサポート(ベンチワーク)も立派なチーム貢献の一部です。出場しなかった時間にも、チームの一員として確かに「価値」があったと具体的に感じさせることが重要です。その貢献を認めてもらうことで、子どもは「自分もチームの一員だ」と再び実感できます。
また、「努力の継続を評価する言葉」も忘れてはいけません。 「練習でのディフェンスのフットワーク、最近すごく粘り強くなったんじゃない?」「あのシュート練習の集中力、コーチも君の動きを見てると思うよ」と伝えることで、出場できなくても努力が無意味ではないと感じられます。
大切なのは、結果ではなく「過程」に焦点を当てていることを、言葉でしっかり伝えることです。
一人だけ試合に出られない子の心は、自信と不安の間で激しく揺れています。そんな時に、「あなたの存在はチームにとって絶対に必要だよ」と明確に伝えること。それが、次への意欲と笑顔を取り戻す最初の一歩になります。
サッカーで出番がない子への励まし方
サッカーは登録メンバーが多く、試合ごとに出場機会が大きく変わるスポーツです。ポジション争いが激しかったり、監督の戦術にたまたま合わなかったり、様々な理由でどれだけ努力してもベンチが続くことがあります。
出番がない子は、「自分には実力がないのかもしれない」「もう練習しても意味がない」と思い込み、サッカーへの情熱そのものを失ってしまうことも少なくありません。そんな時こそ、親やコーチがかける言葉が、子どもの心を立て直す鍵になります。
励ますときに最も大切なのは、「結果を前提にしない声掛け」です。 「次こそ出られるよ」と安易に言ってしまうと、もしまた出られなかった時に、子どもの落ち込みは倍増してしまいます。
サッカーでの声掛け例
- 「今の頑張りが、必ず次につながるからね」
- 「試合に出ていない時の努力こそ、一番成長できるチャンスの時間だよ」
- 「試合に出られなくても、練習相手としてレギュラーメンバーのレベルアップに貢献してるよ。それも立派なチームプレーだね」
このように、努力の「価値」を明確に伝えることが大切です。子どもにとって“自分の努力が見られている”という実感は、何よりの励ましになります。
また、サッカーではチームプレーの中で役割が多様であることを教えてあげるのも有効です。「試合に出ることだけがすべてじゃないよ」「仲間を支えることも立派なチームプレーだよ」と伝えることで、子どもは出場以外の価値にも気づけます。
特に、練習中に味方を励ましたり、交代選手をサポートしたり、ウォーターボトルを準備したりする行動を「そういう『ピッチ外のキャプテンシー』、素晴らしいと思うよ」と褒めることで、子どもは“チームに貢献している”という自信を持つことができます。
さらに、出番がない悔しさを“挑戦の原動力”に変えられるように導くことも大切です。「今はその悔しさを力に変える時だね」「君の努力が報われる瞬間は必ず来るから、その時のために準備しよう」と言葉を添えると、子どもは次の練習への意欲を取り戻します。
励ましの言葉は、慰めではなく“未来への方向づけ”。それを意識するだけで、サッカーを続ける力が子どもの中に再び灯るかもしれません。
野球でベンチが続く子に伝えるべき言葉

野球は出場メンバーが9人(DH制など除く)と限られ、特に少年野球ではレギュラーが固定されやすく、ベンチが続く期間が長くなりやすいスポーツです。ベンチに座る時間が増えると、子どもは「自分はチームに必要とされていないのでは」「努力しても報われない」と感じ、心が折れそうになります。
そんなときこそ、親や指導者がかける言葉が、子どもの心を立て直す力になります。
まず伝えたいのは、「ベンチにいることにも、出場するのと同じくらい重要な意味がある」ということです。
野球での声掛け例
- 「今は出番がないけれど、チームを支える大事な役割があるよ」
- 「試合を外から観て学べること、気づけることがたくさんあるはず。相手ピッチャーのクセとか、味方の守備位置とか、一番よく見える場所だよ」
- 「コーチャーズボックスでの声掛け、チームで一番だったね!あの声がヒットを生んだよ」
野球は特に「自分の役割」が明確なスポーツです。ベンチにいる時間は、相手のデータ分析(スカウティング)の目を養ったり、味方への的確な声掛け(コーチャー)の練習をしたりする絶好の機会だと伝えましょう。試合を外から見て気づいたことを練習に生かすよう促せば、出場できない時間が“思考力を鍛える成長のための時間”に変わります。
また、誰も見ていないような努力を見逃さない姿勢が大切です。「最近、守備の動きがよくなってきたね」「バットの素振り、毎日欠かさないのすごいね。音が変わってきたよ」と、具体的に褒めること。
努力を認められることで、子どもは「見てくれている人がいる」と安心し、自信を取り戻します。出場できない状況は一時的なものかもしれませんが、その間に「誰かが見てくれている」という実感を得られるかどうかが、次の挑戦への意欲を決めるのです。
野球のベンチは、子どもにとって“悔しさを学び、自分の役割を全うする場所”でもあります。その悔しさを否定せず、そこに意味を見出せるように導くこと。それが、子どもの成長を長く支える言葉になります。
辞めると言い出した子への対応と伝え方
「もう辞めたい」
子どもがそのスポーツを辞めたいと口にしたとき、多くの親は「えっ」と動揺します。「今までかけた時間やお金が…」「ここで諦め癖がついたらどうしよう」と、焦ってしまいがちです。
しかし、この言葉の裏には“本気で努力してきたからこその、深い苦しみ”があります。
試合に出られない悔しさ、頑張っても報われない苦しさ、周囲と比べてしまう不安——そうした感情が限界に達したとき、子どもは「辞める」という最後のカードで自分を守ろうとします。ここで親が絶対にやってはいけないのは、その言葉を頭ごなしに否定することです。
「辞めるかどうか」をすぐに判断することではなく、その言葉の“背景”にある子どものSOSを理解することがスタートラインです。
「辞めたい」と言われた時の3ステップ
- 否定せず、まず「受け止める」(共感)親の焦りや意見(「辞めないで」「もう少し頑張れ」)はぐっとこらえます。まずは「そうか、辞めたいと思うほどつらいんだね」「それだけ本気で頑張ってきたってことだね」と、子どもの言葉と感情をそのまま受け止めてあげてください。子どもの高ぶった感情の“受け皿”になってあげるイメージです。
- 理由を「静かに聞く」(傾聴)子どもが少し落ち着いたら、「どうしてそう思ったの?」「どんな時に一番つらかった?」と、静かに尋ねていきましょう。ここで「でも」「だって」と反論してはいけません。ただひたすら聞き役に徹し、子どもが心の内に溜め込んでいたものを全て吐き出させることが大切です。
- 結論を急がず「時間を置く」(冷却期間)すべて聞き終わったら、「話してくれてありがとう。気持ちはよくわかったよ」と伝えます。その上で、「辞めるかどうかは、すごく大事なことだから、お父さん(お母さん)も一緒に考える。少し時間をおいて、もう一度冷静になってから決めよう」と提案します。
このプロセスの中で、努力の過程を一緒に振り返らせてあげるのも良いですね。「入部した頃の写真、見てみる?こんなに小さかったのに、顔つきも変わったよね」「最初は全然できなかったけど、今はこんなにできるようになったね」と、成長の証を一緒に見つけることで、子どもは「自分は確かに変われた」と客観的に気づくことができます。
親が結論を出すのではなく、子ども自身に選択させること。そのプロセス自体が、子どもの自立心を育てます。感情的になっている時に下した決断は、後で必ず後悔します。一度受け止め、時間を置くこと。それが信頼関係を保ちつつ、再び前を向くきっかけをつくります。
悔しさを前向きな力に変えるサポート方法
試合に出られなかったり、結果が出なかったりしたとき、子どもが感じる“悔しさ”は、大人が思うよりもずっと強く、純粋な感情です。この感情を「そんなことで落ち込むな」と押し殺したり、「次頑張ればいい」と無理に励ましたりするのではなく、上手に受け止め、前向きな力に変えるサポートが大切です。
悔しさは、子どもが成長するための最強の“原動力”にもなり得るのです。
最初に大切なのは、繰り返しになりますが「悔しさを否定しないこと」です。「泣くなんて情けない」といった言葉は最悪です。
むしろ「悔しいよね」「その気持ちはすごく大事だよ」「それだけ本気だったんだね」と共感することで、子どもは自分の感情を受け止めやすくなります。悔しさや涙をありのまま吐き出すことができたとき、初めて次に進むエネルギーが生まれます。
次に、そのネガティブな感情を“ポジティブな行動”に変えるサポートをしましょう。 「じゃあ、その悔しさをバネにして、次の試合までに何を一つだけ上達させたい?」「悔しさをどう生かせると思う?」と問いかけ、子ども自身に考えさせることがポイントです。
行動に変えるサポート例
- スモールステップで目標設定を手伝う:「まずは、次の練習で『声だけは誰にも負けない』を目標にしてみない?」
- ノートに書き出させる:悔しかったこと、次にやりたいことをノート(スポーツノート)に書き出すよう勧める。文字にすることで感情が客観視でき、思考が整理されます。
- 親も一緒に練習する:「お父さんも一緒にリフティング練習するよ」と、孤独な努力に付き合ってあげる。
親が答えを与えるよりも、子どもが自分で目標を見つけたとき、悔しさは自然と「次こそは」という前向きな力に変わります。
そして、その行動への努力の小さな変化を、親が絶対に見逃さずに認めること。「昨日より守備が安定してたね」「声の出し方が良くなってたよ」と、具体的に褒めることで、子どもは「自分の努力は報われている」と実感できます。
悔しさは決して悪い感情ではありません。大人がそのエネルギーを正しい方向に導いてあげることで、子どもは次の挑戦へと進む勇気を手に入れるのです。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 試合に出れない子にかける言葉は、結果よりも努力や感情を認めることが大切
- 試合に出れない子の親は、焦らず子どもの気持ちを受け止め、共感を優先する
- 声掛けのタイミングは、子どもが落ち着き話を受け入れる余裕ができた時が最適
- メンタルを守るためには、比較せずその子自身の成長を見守る姿勢が必要
- 「次は出られるよ」などの言ってはいけない言葉は、根拠のない期待となり子どもの自信を奪うことがある
- 努力の過程やプレー以外の行動を具体的に褒めることで、子供の自己肯定感を上げる声掛けができる
- バスケで一人だけ出れない子には、ベンチでの貢献(ベンチワーク)を具体的に認めてあげることが効果的
- サッカーでは出番がなくても、仲間を支える行動を評価し、ピッチ外でのチーム貢献意識を高める
- 野球でベンチが続く子には、観察やサポート、声掛けといった「ベンチの役割」にも価値があると伝える
- 「辞める」と言い出した時は頭ごなしに否定せず、まず共感し、感情を整理する時間を与えることが大切
試合に出れない子への言葉は、単なる表面的な励ましではなく、「深い寄り添いと具体的な認知」が鍵になります。親やコーチの何気ない一言が、子どもの繊細なメンタルを支え、次の挑戦への大きな勇気を引き出します。
大切なのは、出場の有無という「結果」ではなく、そのスポーツと向き合い、努力を続ける「過程」を常に見守る姿勢です。その悔しさをバネにして、さらに大きくジャンプできるように、子どもが「自分は結果に関わらず認められている」と心から感じられる言葉を、粘り強く届けていきましょう。
