テレビ局の就職はやめとけ？年収や就職の現実を解説

「テレビ局の就職はやめとけ」という言葉を目にして、華やかなイメージとのギャップに戸惑い、不安を感じていませんか。仕事はきついと聞くし、実際の年収も気になりますよね。

また、ADから始まるキャリアやコネの有無、そして何より驚異的な就活の倍率を考えると、一歩を踏み出すのをためらってしまう気持ちはよく分かります。就職難易度ランキングやテレビ局に就職できる大学ランキングを見れば、自分の学歴（大学、国公立、あるいは高卒）で通用するのか、そもそもどんな人が向いている人なのか、考えるほど迷うかもしれません。

この記事では、そんなあなたの疑問に一つひとつ丁寧にお答えします。

テレビ局のすごい魅力と厳しい現実の両面を深く理解し、後悔のないキャリア選択をするための羅針盤として、ぜひ最後までお読みください。

テレビ局の就職はやめとけと言われる5つの理由

テレビの仕事はきついって本当？

結論から言うと、テレビ局の仕事が「きつい」というのは事実である場合が多いです。これは、テレビというメディアの特性に起因するもので、主に「長時間労働」と「不規則な勤務体系」、そして「精神的なプレッシャー」の3つの側面があります。

まず、番組制作の現場では、早朝からのロケや深夜に及ぶ編集作業が日常的に発生します。特にドラマやバラエティ番組の収録では、スケジュールが押し、泊まり込みになることも珍しくありません。また、報道部門に配属されれば、事件や事故、災害などの緊急事態に昼夜を問わず対応する必要があります。情報は鮮度が命であるため、常に時間との戦いになるのです。

次に、精神的なプレッシャーも大きな要因です。視聴率という明確な数字で結果が突き付けられる世界であり、番組の評価が直接的なストレスになることがあります。加えて、多くのスタッフや出演者と協力して一つの番組を作り上げる過程では、人間関係の調整や予期せぬトラブルへの対応も求められます。

ただ、近年は働き方改革の影響を受け、労働環境の改善に取り組むテレビ局が増えているのも事実です。しかし、業務の特性上、仕事とプライベートのバランスを取りにくい側面があることは、覚悟しておく必要があるでしょう。

驚きの就活の倍率と厳しい現実

テレビ局への就職が「やめとけ」と言われる理由の一つに、極めて高い就職難易度が挙げられます。テレビ業界は市場規模が縮小傾向にあると言われながらも、学生からの人気は依然として高く、毎年少ない採用枠に多くの応募が殺到するのが実情です。

特に、東京に本社を置くキー局（日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京）の総合職やアナウンサー職では、採用倍率が数百倍、時には数千倍に達することも珍しくありません。

ここで、厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」のデータを見てみましょう。これは求職者一人に対して何件の求人があるかを示す指標で、1を下回ると求職者の方が多い（就職が難しい）状況を意味します。

このように、どの職種も求人数に対して求職者数が圧倒的に多く、いかに狭き門であるかが分かります。この厳しい競争を勝ち抜かなければならないという現実が、「やめとけ」という意見につながっているのです。

ADから始まる過酷な下積み時代

テレビ業界のキャリアは、多くの場合「AD（アシスタントディレクター）」から始まります。ADは、番組制作のあらゆる雑務を一手に引き受けるポジションで、ディレクターやプロデューサーを目指すための重要な下積み期間とされています。

ADの仕事は多岐にわたります。

具体的には、以下のような業務を担当します。

• 企画会議の資料作成やリサーチ
• ロケ地の下見（ロケハン）や撮影許可の申請
• 出演者や取材先との連絡・交渉
• 撮影当日のスケジュール管理、機材の準備、弁当の手配
• 収録中のカンペ出しや出演者のサポート
• 編集作業の補助（テロップの元原稿作成など）

これらの業務を同時にこなすため、ADは体力的に最もきつい職種の一つと言われます。自分の時間はほとんどなく、常に走り回っているような状態が続くことも少なくありません。この過酷な下積み時代に耐えられず、業界を去ってしまう人がいるのも事実です。「やめとけ」という言葉の裏には、このAD時代の厳しさに対するイメージが強く反映されていると言えるでしょう。

結局コネがないと入れないのか？

テレビ局の就職活動において、「コネ（縁故採用）がないと有利不利があるのではないか」という不安の声をよく聞きます。結論から言うと、コネが採用を完全に左右するわけではありませんが、全く無いとも言い切れないのが実情です。

インプットした情報によると、一部のケースでは、今後の関係性を考慮した「忖度（そんたく）」などが働き、採用に至る可能性もゼロではないとされています。しかし、これは極めて稀なケースです。

現在のテレビ局の採用は、応募者の能力や適性、そして何よりも「テレビで何をしたいのか」という情熱を重視する傾向にあります。いくら強力なコネがあったとしても、本人の実力が伴わなければ、入社後に活躍することはできません。企業側も、能力のない人材をコネだけで採用することは、組織にとって大きなマイナスになることを理解しています。

コネはあくまで補助的な要素に過ぎません。最終的には、あなた自身の実力と熱意で勝負することが最も重要です。

高い年収は本当？キー局と地方局の差

仕事の厳しさが語られる一方で、テレビ局は高収入であることも事実です。これは、テレビ局への就職を目指す大きなモチベーションの一つと言えるでしょう。特にキー局の平均年収は、日本の全産業の平均を大きく上回る水準にあります。

2023年度の有価証券報告書によると、在京キー5局の平均年収は以下の通りです。

国税庁の調査による日本の平均給与が523万円（令和4年分）ですから、キー局の年収がいかに高いかが分かります。30代で年収1,000万円を超えることも珍しくありません。

テレビ局の就職はやめとけ論の先にある魅力と適性

テレビ局の仕事のすごい魅力とは

「やめとけ」と言われる厳しい側面がある一方で、テレビ局の仕事には他では得難い「すごい」と感じられるほどの大きな魅力があります。多くの人が困難な道と知りながらも目指すのは、これらの魅力に惹かれるからに他なりません。

社会への大きな影響力

最大の魅力は、自分の仕事が映像を通して多くの人々に届き、社会に影響を与えられることです。制作した番組がきっかけで新しい流行が生まれたり、報道した社会問題が世論を動かしたりと、そのスケールの大きさは計り知れません。視聴者からの反響をダイレクトに感じられることも、大きなやりがいにつながります。

刺激的で変化に富んだ毎日

テレビ局の仕事は、ルーティンワークとは無縁です。常に世の中の最新トレンドを追い、新しい情報や人、価値観に触れることができます。普段の生活では出会えないような著名人やアスリート、専門家と一緒に仕事ができるのも、この業界ならではの特権です。変化を楽しみ、刺激を求める人にとっては、これ以上ないほど魅力的な環境でしょう。

専門的かつ汎用的なスキルの習得

番組制作を通して、特殊なスキルが身につく点も魅力です。例えば、膨大な情報の中から真実を見極めるリサーチ力、複雑な内容を分かりやすくまとめる構成力、企画を実現に導く交渉力やプレゼン能力などが挙げられます。これらのスキルは、テレビ業界だけでなく、他の分野でも通用するポータブルな能力となります。

テレビ局に向いている人の4つの特徴

テレビ局の厳しい環境を乗り越え、活躍するためにはどのような適性が必要なのでしょうか。ここでは、テレビ局に向いている人の特徴を4つ紹介します。自分に当てはまるかチェックしてみましょう。

1. 体力と精神力に自信がある人
   前述の通り、テレビ局の仕事はハードワークです。不規則な生活に耐えうる体力はもちろん、プレッシャーや予期せぬトラブルにも動じない精神的なタフさが不可欠です。
2. 好奇心旺盛で情報に敏感な人
   面白い番組を作るには、世の中のあらゆる事象にアンテナを張り、視聴者の関心事を捉える必要があります。ジャンルを問わず様々なことに興味を持ち、自ら情報収集することが好きな人は、この仕事に非常に向いています。
3. フットワークが軽く、臨機応応な人
   現場では、急な予定変更やトラブルは日常茶飯事です。決まった筋書き通りに進まない状況でも、変化を楽しみながら柔軟に対応できる能力が求められます。
4. コミュニケーション能力と交渉力が高い人
   番組制作はチームプレーです。多くのスタッフや外部の関係者と円滑に仕事を進めるコミュニケーション能力は必須です。また、出演交渉やロケ地の撮影許可など、相手を納得させて協力を得るための交渉力も重要なスキルになります。

就職難易度ランキングで見る立ち位置

テレビ局が就職先としてどれほど難しい位置にあるのかを、客観的なデータで見てみましょう。日本企業格付センターが作成した「2025年版 就職偏差値ランキング」では、テレビ局は非常に高い評価を得ています。

このランキングは、企業の入社難易度を偏差値として示したもので、数値が高いほど難関であることを意味します。

偏差値78というのは、総合商社（住友商事、丸紅）や大手不動産（三菱地所、三井不動産）と並ぶ、国内トップクラスの難易度です。このランキングからも、テレビ局への就職がいかに狭き門であるかが客観的に理解できます。

生半可な対策では通用しない、徹底した準備が求められる世界なのです。

テレビ局に就職できる大学ランキングTOP5

テレビ局の就職では、出身大学がどの程度影響するのでしょうか。ダイヤモンド・オンラインが過去の就職実績を基に集計したランキングによると、いわゆる「早慶」が圧倒的な強さを見せています。

以下は、1989年から2017年までの29年間における、新聞・放送業界への累計就職者数を基にしたランキングです。

この結果から分かるように、特にキー局においては早稲田大学と慶應義塾大学の出身者が大多数を占める傾向にあります。これは、マスコミ業界に多くのOB・OGを輩出しており、大学と業界との間に強い繋がりがあることが一因と考えられます。

また、上智大学が上位にランクインしているのは、ジャーナリズム教育に定評のある新聞学科の存在が大きいでしょう。テレビ局を目指すのであれば、これらの大学が有利な選択肢となるのは間違いありません。

学歴は重要？大学・国公立・高卒の場合

前述のランキングからも分かる通り、キー局への就職においては「学歴」が一定の影響を及ぼすことは否定できません。いわゆる「学歴フィルター」の実質的なボーダーラインは、早慶上智あたりにあると考えるのが現実的です。

実際に、各局が公開している採用実績を見ると、採用者の大半は早慶や東大・京大といった旧帝大、MARCH・関関同立以上の上位大学出身者で占められています。国公立大学も含まれますが、やはり関東圏の有名私立大学が強い傾向にあります。

高卒や専門学校卒では不可能か？

では、高卒や専門学校卒ではテレビ業界に入れないのでしょうか。結論から言うと、テレビ局本体に正社員として就職するのは極めて難しいですが、業界で働く道はあります。

学歴が全てではありません。どの入口からであれ、業界で活躍できるかどうかは入ってからの頑張り次第です。

テレビ局の就職はやめとけの総括

この記事では、「テレビ局はやめとけ」と言われる理由から、その裏にある魅力や就職の実態までを詳しく解説してきました。

最後に、この記事の要点をまとめます。

「やめとけ」という一言で、あなたの可能性を閉ざしてしまうのは非常にもったいないことです。

厳しい現実を直視し、それでも挑戦したいという強い気持ちがあるのなら、ぜひその夢に向かって全力で準備を進めてください。

この記事が、あなたの後悔のないキャリア選択の一助となれば幸いです。