団体職員はやめとけの真相｜後悔しないための全知識

「団体職員はやめとけ」という言葉をインターネットで目にして、不安や疑問を感じていませんか。団体職員の仕事に関心はあるものの、その実態が分からず、一歩を踏み出せずにいる方も多いかもしれません。

この記事では、団体職員とは具体的にどのような仕事なのかという基本から、まことしやかに囁かれる「怪しい」といった評判や、年収・給料が安いという現実まで、あらゆる情報を網羅的に解説します。

一方で、団体職員には多くのメリットがあり、実はホワイトな職場である可能性や、人によっては勝ち組とも言えるキャリアパスが存在するのも事実です。例えばJAは団体職員なのかといった具体的な疑問にも触れつつ、公開されている年収ランキングや様々な団体の一覧を紹介します。

この記事を最後まで読めば、あなたが団体職員に向いている人なのか、そして「団体職員はやめとけ」という言葉が自分に当てはまるのかを、ご自身の価値観に基づいて判断できるようになります。

就職や転職で失敗や後悔をしないために、まずは客観的な情報を手に入れていきましょう。

団体職員はやめとけと言われる5つの理由

団体職員という働き方が一部で「やめとけ」と言われるのには、いくつかの具体的な理由が存在します。

ここでは、多くの方が懸念するポイントを解説していきます。

団体職員とは？仕事内容をまず解説

団体職員について考える最初のステップとして、そもそも「団体職員とは何か」を正確に理解しておく必要があります。

団体職員とは、一般的に営利を第一の目的としない法人や組織で働く職員のことを指します。これには非常に幅広い組織が含まれ、法律で明確に定義されているわけではありません。株式会社のような営利企業で働く「会社員」や、国・地方自治体で働く「公務員」とは異なるカテゴリーに分類されます。

主な勤務先の種類

団体職員の勤務先は多岐にわたりますが、代表的なものには以下のような法人が挙げられます。

• 社団法人・財団法人： 特定の公益目的のために設立され、業界団体や学術振興、文化支援などを行います。
• 独立行政法人： 国の行政の一部を分離し、より効率的な運営を目指す法人です。（例：JICA、JOGMECなど）
• 学校法人： 私立の大学、高校、専門学校などを運営します。
• 社会福祉法人： 高齢者施設や保育所など、社会福祉事業を専門に行います。
• 医療法人： 病院やクリニックなどを運営します。
• 協同組合： 農業協同組合（JA）や生活協同組合（生協）など、組合員の相互扶助を目的とする組織です。
• NPO法人（特定非営利活動法人）： 市民が主体となり、様々な分野で社会貢献活動を行います。

仕事内容は所属する団体の目的によって全く異なります。会員の管理やサポート、イベントの企画運営、調査研究、広報活動、国や自治体との連携など、事務職から専門職まで様々です。このように、一口に団体職員と言っても、その働き方は千差万別であることをまず押さえておくことが大切です。

団体職員は怪しい？その実態を解説

インターネットで検索すると、「団体職員は怪しい」といったキーワードが出てくることがあり、不安に感じるかもしれません。このイメージは、主に二つの要因から生じていると考えられます。

一つ目は、社会的認知度の低さです。多くの団体は一般消費者向けのサービスや製品を提供しているわけではないため、BtoC企業のように社名が広く知れ渡っているケースは稀です。「〇〇協会」や「〇〇財団」と聞いても、具体的に何をしている組織なのかイメージが湧きにくく、それが「何をしているか分からない＝怪しい」という印象につながってしまうことがあります。

もう一つの理由は、組織の閉鎖性です。特に歴史の長い団体では、独自の慣習や文化が根強く残っている場合があります。外部からの情報が入りにくく、内部の様子が見えづらいことから、不透明で閉鎖的な組織というイメージを持たれやすい傾向があります。また、ニュースで不祥事が報道される際に「団体職員」という肩書が使われることで、漠然としたネガティブなイメージが強化される側面もあります。

しかし、これらの多くは実態を知らないことからくる誤解です。ほとんどの団体は、特定の業界の発展や社会課題の解決といった公共性の高い目的のために真摯に活動しています。もし特定の団体に興味を持った場合は、その団体のウェブサイトや活動報告書をしっかりと読み込み、事業内容を理解することが、こうした漠然とした不安を解消する鍵となります。

団体職員は年収・給料が安いって本当？

「団体職員は年収や給料が安い」という話は、多くの方が最も懸念する点であり、これはある程度事実と言えます。

なぜなら、多くの団体は非営利組織であり、利益追求を第一の目的としていないからです。事業で得た収益は、団体の活動目的である社会貢献事業や、組織運営費に充てられます。そのため、民間企業のように業績に応じて社員へ多額のボーナスを支給したり、高い昇給率を実現したりすることが構造的に難しいのです。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は458万円ですが、多くの団体職員の年収はこれを下回る傾向にあります。特にNPO法人などでは、財源が寄付金や助成金に限られるため、給与水準が低くなるケースが見られます。

ただし、これも全ての団体に当てはまるわけではありません。後述するように、団体の規模や種類、専門性によっては、日本の平均年収を大きく上回るケースも存在します。例えば、政府系の独立行政法人や大規模な業界団体、人気の私立大学の職員などは、比較的高い給与水準であることが知られています。

したがって、「給料が安い」というイメージは間違いではありませんが、それはあくまで全体的な傾向です。重要なのは、自分が興味のある団体がどのような給与体系なのかを個別に確認することです。

給与の高い団体の年収ランキングを紹介

前述の通り、「団体職員は給料が安い」というイメージが一般的ですが、中には高水準の給与を得られる団体も存在します。ここでは、公開されている情報や口コミサイトのデータを基に、一般的に年収が高いとされる団体の種類と具体例を見ていきましょう。

これらの団体に共通するのは、「安定した財源」と「高度な専門性」です。ただし、注意点として、これらの団体は就職・転職市場での人気が非常に高く、入職難易度も相応に高いことを理解しておく必要があります。

年収の高さを重視する場合は、漠然と団体職員を目指すのではなく、上記のような特定の高待遇な団体をターゲットに定め、入念な準備と対策を行うことが求められます。

団体職員は勝ち組になれないのか？

勝ち組の定義は人それぞれですが、もし「高い年収を得て、スピード出世すること」を指すのであれば、多くの団体職員は当てはまらないかもしれません。

多くの団体では年功序列の風土が根強く、成果主義の民間企業のように20代で管理職に抜擢されたり、インセンティブで年収が数倍になったりするケースは稀です。昇進のペースは緩やかで、給与も急激には上がりません。このようなキャリアを望む人にとっては、物足りなさを感じ、「負け組」と捉えてしまう可能性はあります。

しかし、視点を変えれば、団体職員は別の意味での「勝ち組」と考えることもできます。

ワークライフバランスの勝ち組

多くの団体は、過度な利益追求を行わないため、ノルマに追われたり、過剰な残業が発生したりすることが比較的少ない傾向にあります。定時で退勤しやすく、有給休暇も取得しやすい環境が整っている場合が多いです。プライベートの時間をしっかりと確保し、趣味や自己啓発、家族との時間を大切にしたい人にとっては、理想的な働き方と言えます。

精神的安定の勝ち組

倒産リスクが極めて低く、景気の波に左右されにくい安定した雇用も大きな魅力です。リストラの心配が少なく、長期的な視点で人生設計を立てやすいことは、精神的な安定に直結します。この安心感は何物にも代えがたい価値があると考える人も少なくありません。

要するに、何を「勝ち」とするかによります。金銭的・地位的な成功を追い求めるのではなく、安定した環境で心身ともにゆとりのある生活を送ることを望むのであれば、団体職員は十分に「勝ち組」の選択肢となり得るのです。

JAは団体職員？公務員との違いは？

就職活動において、特に地方でよく名前が挙がる「JA（農業協同組合）」ですが、その職員の立ち位置について疑問を持つ方も多いようです。

まず、JAの職員は「団体職員」に分類されます。JAは農業協同組合法に基づいて設立された、農業者のための協同組合であり、営利を第一の目的としない組織だからです。

よくある誤解として、「JAは公務員ではないか？」というものがありますが、これは明確に間違いです。公務員は国や地方公共団体に所属し、その財源は税金で賄われます。一方、JAは民間の協同組合であり、その事業運営は組合員の出資金や事業収益によって成り立っています。採用も、公務員試験ではなく、JAグループが独自に行う採用試験によって決まります。

ただし、JAの事業は地域農業の振興という公共性の高い役割を担っており、地域社会に深く根付いているため、「準公務員」のようなイメージを持たれることがあります。仕事の安定性が高く、地域への貢献を実感しやすいという点は、公務員と共通する魅力かもしれません。

このように、JAは公務員ではなく、数ある団体職員の一つの形態です。地域に密着して、食や農業という生活に不可欠な分野で貢献したいと考える人にとって、有力な選択肢の一つになると考えられます。

団体職員はやめとけ？当てはまらない人の特徴

「やめとけ」という意見がある一方で、団体職員という働き方が非常にマッチする人たちもいます。

ここでは、どのような価値観や志向を持つ人が団体職員として充実したキャリアを築けるのか、その特徴を解説します。

知っておきたい団体職員の3つのメリット

団体職員というキャリアを選択することには、民間企業とは異なる、独自のメリットが存在します。給与やキャリアパスといった側面だけでなく、これらの利点を理解することが、後悔のない選択につながります。

社会貢献度の高い仕事ができる

最大のメリットは、自分の仕事が社会や特定の業界の役に立っていると実感しやすい点です。団体の多くは、業界の発展、文化振興、環境保護、福祉の増進といった公共性の高い目的を掲げています。日々の業務が、利益のためだけでなく、より良い社会を作るための一助となっていると感じられることは、大きなやりがいや満足感につながります。

安定した雇用環境で働ける

多くの団体は、国や自治体からの補助金や委託事業、あるいは安定した会費収入などを財源としており、急激な景気変動の影響を受けにくい傾向があります。そのため、民間企業に比べて倒産やリストラのリスクが低く、長期的に安心して働くことが可能です。この雇用の安定性は、将来のライフプランを設計する上で大きなアドバンテージとなります。

幅広い人脈を形成できる

団体職員は、その業務の性質上、会員企業や関係省庁、地方自治体の職員、研究者、他団体の職員など、非常に幅広い立場の人々と関わる機会が多くあります。多様なバックグラウンドを持つ人々との交流を通じて、業界の最新動向を学んだり、新たな視点を得たりすることができます。ここで築いた人脈は、自身のキャリアにとって貴重な財産となるでしょう。

これらのメリットは、仕事に何を求めるかという個人の価値観と深く結びついています。

実はホワイト？働きやすさを徹底解説

「団体職員はホワイトな職場」というイメージもまた、よく語られる点です。これは、主に労働環境の観点から言われることが多く、実際にそうである可能性は高いと考えられます。

まず、ワークライフバランスを保ちやすい点が挙げられます。前述の通り、団体は営利を第一としないため、民間企業にありがちな過度な納期や厳しいノルマが存在しない場合が多いです。これにより、日々の業務量をコントロールしやすく、定時で退勤できる日も多くなります。結果として、終業後の時間を趣味や自己啓発、家族サービスなどに充てることができ、生活全体の満足度向上につながります。

次に、休暇制度が整っており、かつ取得しやすい環境であることも大きな特徴です。カレンダー通りの土日祝休みに加え、夏季休暇や年末年始休暇もしっかりと設定されている団体がほとんどです。また、職員数が比較的少ない組織では、お互いの状況を理解しやすく、有給休暇の取得にも寛容な雰囲気が醸成されていることがあります。

さらに、福利厚生が充実している団体も少なくありません。特に公務員に準じた給与体系を持つ独立行政法人などでは、住宅手当や扶養手当、退職金制度などが手厚く整備されています。

ただし、注意点として、全ての団体がホワイトであるとは限りません。中には、人手不足で一人当たりの業務量が過大になっている「超ブラック」な団体も存在します。特に、管理職になると責任が一気に重くなるケースも見られます。そのため、「団体職員＝必ずホワイト」と安易に考えるのではなく、志望する団体の職員の働き方について、OB・OG訪問や口コミサイトなどで実情を調べることが大切です。

どんな種類がある？団体職員の組織一覧

これまで述べてきたように、団体職員と一括りに言っても、その勤務先は多種多様です。自分がどのような分野で社会に貢献したいのか、どのような環境で働きたいのかを考える上で、具体的な組織の種類を知っておくことは非常に役立ちます。

以下に、主な団体の種類とその活動内容の例を一覧で示します。

中央省庁・地方公務員関連

• • 独立行政法人： 国の政策実施機関。研究開発、国際協力、金融支援など。（例：NEDO、JAXA、JICA）
  • 国立大学法人： 全国の国立大学の運営法人。（例：東京大学、京都大学）

公益・非営利法人

• • 公益社団法人・一般社団法人： 業界団体、学術団体、スポーツ団体など。（例：日本経済団体連合会、日本プロサッカーリーグ）
  • 公益財団法人・一般財団法人： 文化振興、研究助成、奨学金事業など。（例：日本財団）
  • NPO法人（特定非営利活動法人）： 環境保護、まちづくり、国際協力など、市民活動をベースにした多岐にわたる分野。

相互扶助・組合

• • 農業協同組合（JA）・漁業協同組合（JF）： 農家や漁業者の経営支援、資材供給、金融サービスなど。
  • 生活協同組合（生協）： 消費者のための商品共同購入、共済事業など。
  • 労働組合： 労働者の権利保護、労働条件の改善交渉など。

その他

• 学校法人： 私立の大学、短期大学、高等学校、中学校、小学校、幼稚園の運営。
• 社会福祉法人： 特別養護老人ホーム、障害者支援施設、保育所の運営。
• 医療法人： 病院、診療所の運営。
• 商工会議所・商工会： 地域の中小企業の経営支援、地域振興。

この一覧からも分かるように、活動分野は「国際協力」から「地域のまちづくり」まで、規模は「全国組織」から「市町村単位の組織」まで、実に様々です。自分の興味や関心、専門性を活かせるフィールドがどこにあるのか、この一覧を参考に探してみることをお勧めします。

団体職員に向いている人の特徴を解説

これまでの情報を踏まえると、団体職員という働き方が特に適している人物像が浮かび上がってきます。自分がこれから挙げる特徴に当てはまるか、自己分析の材料としてみてください。

社会貢献への意欲が高い人

まず、利益追求よりも社会や人の役に立つことに強いやりがいを感じる人は、団体職員に非常に向いています。自分の仕事が特定の業界や地域、ひいては社会全体に良い影響を与えているという実感は、日々の業務の大きなモチベーションになります。「誰かのために働きたい」という思いが強い人にとって、団体職員はまさに天職となり得ます。

安定志向で長期的な視点を持つ人

急激なキャリアアップや高収入よりも、安定した雇用環境で着実にキャリアを積み重ねていきたいと考える人にも適しています。倒産やリストラのリスクが低く、景気に左右されにくい環境は、腰を据えて仕事に取り組むことを可能にします。また、年功序列の風土は、長期的に勤め上げることで着実に待遇が向上していく安心感にもつながります。

ワークライフバランスを重視する人

仕事とプライベートを明確に分け、どちらも充実させたいと考える人にも、団体職員は魅力的な選択肢です。比較的残業が少なく、休暇も取得しやすいため、家族との時間や趣味、自己投資の時間を確保しやすい傾向にあります。ガツガツ働くよりも、自分のペースを大切にしたい人には最適な環境と言えるかもしれません。

コミュニケーション能力と調整力が高い人

団体職員の仕事は、様々な立場の人々の間に立ち、意見を調整する場面が頻繁にあります。会員、行政、専門家、地域住民など、多様なステークホルダーと円滑な関係を築き、合意形成を図っていく能力が求められます。人と接することが好きで、粘り強く物事に取り組める人に向いている仕事です。

これらの特徴に複数当てはまるのであれば、あなたは団体職員として活躍できる素質を十分に持っていると考えられます。

団体職員はやめとけの総括

ここまで、「団体職員はやめとけ」と言われる理由から、その実態、メリット、そして向いている人の特徴までを多角的に解説してきました。

最終的に、あなたが団体職員という道を選ぶべきか否かを判断するための要点を、以下にまとめます。