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スクールカウンセラーはやめとけ?年収・雇用の厳しい実態を解説

スクールカウンセラーはやめとけ?年収・雇用の厳しい実態を解説 キャリア・働き方

スクールカウンセラーという仕事は、一見すると「子どもの心を支えるやりがいのある職業」と理想的に見えがちですよね。ですが、実際に現場を知る人の間では「スクールカウンセラーはやめとけ」というシビアな声が聞かれることも少なくありません。

その理由を探ってみると、想像していたよりも低い給料水準や、契約更新に怯える雇用の不安定さ、時には保護者や教員からの厳しい苦情対応、そして何より「心」を扱うからこその精神的な負担の大きさなど、理想と現実の間に横たわる大きなギャップが見えてきます。

現場によっては「最悪だ」と感じるような職場環境や、どうしても折り合えない「嫌いな人」との人間関係に悩み、心が疲弊してしまう人もいます。また、自分の支援が本当に届いているのか分からず、「意味ないかもしれない」と無力感を覚える瞬間を経験する人もいます。

しかし、もちろんネガティブな側面だけではありません。公認心理師や臨床心理士といった専門資格を取得し、高校などの教育現場で日々生徒に寄り添う中で、何物にも代えがたい確かなやりがいを見いだしている人が多いのも事実です。

この記事では、スクールカウンセラーの具体的な仕事内容から、待遇の現実、そして現場で働く人たちのリアルな口コミまでを深掘りし、この仕事の本当の姿を詳しく解説していきますね。

  • スクールカウンセラーが「やめとけ」と言われる本当の理由
  • 「最悪」と感じる職場環境や「嫌いな人」との関係の乗り越え方
  • 給料・雇用・資格取得の実情と現場での仕事内容
  • 苦情対応・口コミから見えるやりがいと「意味ない」と感じる瞬間

スクールカウンセラーはやめとけと言われる理由とは

スクールカウンセラーはやめとけと言われる理由とは

スクールカウンセラーという職業は、子どもたちやその家族、時には教員たちの心を支える、社会的に非常に大切な役割を担っています。ですが、その重要性とは裏腹に、「やめとけ」と言われてしまうような厳しい現実も数多く存在しているんです。

表面的には「やりがいがありそう」「専門職でかっこいい」といったイメージがあるかもしれませんが、実際の現場では想像以上の困難や葛藤に直面することが少なくありません。

ここからは、スクールカウンセラーが日々どのような仕事内容を担い、どんな環境で働いているのか、そしてなぜ「最悪だ」「意味ないかも」といった声が上がってしまうのか、その背景にあるリアルな実態を具体的に見ていきましょう。仕事の具体的な中身から、気になる給料事情、職場の人間関係、精神的な負担、そしてもちろん「やりがい」の源泉まで、詳しく解説していきます。

スクールカウンセラーの仕事内容と現場の実情

スクールカウンセラーの最も重要な仕事は、言うまでもなく児童生徒の心のケアを行い、彼ら・彼女らが学校生活を少しでも安心して送れるようにサポートすることですね。具体的には、いじめ、不登校、友人関係の悩み、家庭問題、進路への不安など、子どもたちが抱える多種多様な心理的課題に対して、専門的なカウンセリング(心理面接)を実施します。

ただ、仕事はそれだけではありません。必要に応じて保護者からの相談(ペアレント・トレーニングや養育相談)を受けたり、教職員との面談(コンサルテーション)を行ったりして、子どもを取り巻く環境全体に働きかけることも大切な役割です。学校全体でどう支援していくか、その方針を共有・調整するコーディネーター的な動きも求められます。

しかし、こうした理想的な業務を遂行するには、現場の「実情」という大きな壁があります。多くの現場では、1人のカウンセラーが複数の学校を掛け持ちしている(兼務している)ことが一般的です。例えば「月曜はA小学校、火曜の午前はB中学校、午後はC高校」といった具合で、1つの学校にいられる時間が非常に限られています。週に1〜2日程度、あるいは半日だけというケースも珍しくありません。

そうなると、当然ながら生徒や教員とじっくり向き合い、信頼関係を築くための時間が十分に取れませんよね。継続的な支援が難しくなり、「あの後、あの子はどうなったかな」と気をもんでも、次の訪問日までに状況が変わってしまっていることも多いのです。

さらに、学校現場では「スクールカウンセラー=問題が起きた時だけ呼ばれる人」「相談室にいる謎の人」といった認識が根強く残っている場合も。教員との日常的な連携(情報交換)がスムーズにいかず、孤立感を覚えてしまうこともあります。「生徒への支援方針」をめぐって、教育的な視点を持つ教員と、心理的な視点を持つカウンセラーとで意見が食い違い、板挟みになってしまうこともあるんです。

スクールカウンセラーは心の専門家でありながら、学校という独特の文化や組織の中で、柔軟に立ち回り、自身の専門性を理解してもらう努力も求められます。現場では、生徒の繊細な心を扱う重い責任感と、教育現場特有の複雑な人間関係の中で調整役を担うストレスの両方に、日々直面することになるわけです。

給料が低い?非常勤中心の雇用と収入の現実

スクールカウンセラーという仕事について、「給料が低い」「将来的に安定しない」という声は非常によく聞かれます。これは残念ながら、多くの現場で「事実」と言わざるを得ないかもしれません。

その最大の理由は、この職業のほとんどのポジションが非常勤(会計年度任用職員など)や業務委託契約であり、正規採用(常勤)の枠が極めて少ないという雇用構造にあります。実際、多くの公立学校に配置されているスクールカウンセラーは非常勤職員で、勤務した日数や時間に応じて報酬が支払われる「時給(日給)制」がほとんどです。

具体的な年収は地域や自治体の予算、勤務形態によって大きく異なりますが、非常勤の場合、1日(7〜8時間勤務)あたりの報酬は、おおむね1万円前後から、専門性が考慮されても2万円程度が相場かなと思います。前述の通り、週に1〜2日の勤務が多いため、年収に換算すると100万円〜200万円台にとどまることも少なくありません。

文部科学省の調査(※)によれば、例えば公立高校の場合、スクールカウンセラーの配置は「月1日未満」や「月1日以上2日未満」の学校が合わせて約7割を占めるというデータもあり、勤務日数が非常に限られている実態がうかがえます。(出典:文部科学省『第5章 全国高校アンケート調査からみた スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの実態』

収入の具体例(あくまで一例です)

  • 時給 3,000円 × 1日5時間 × 週2日(月8日) = 月収 120,000円(年収 144万円)
  • 日給 15,000円 × 週1日(月4日) = 月収 60,000円(年収 72万円)

※ここから社会保険料や税金が引かれる場合もあります。

もちろん、中には正規職員(公務員心理職や私立学校の専任職員)として雇用されるケースも存在しますが、その採用枠は非常に限られており、競争率は極めて高いのが現状です。しかも、心理職全体で見ても、資格(公認心理師・臨床心理士)や臨床経験年数が、必ずしも給与に適切に反映されにくいという構造的な課題もあります。

こうした経済的な現実から、「スクールカウンセラーの仕事だけでは生活が成り立たない」と感じ、他の心理職(クリニック非常勤など)と掛け持ちしたり、やむを得ず離職したりする人もいます。子どもの心の支援という社会的に非常に重要な仕事であるにもかかわらず、その専門性に対する経済的な評価が追いついていないのが、この国の現状だと言えるかもしれません。

とはいえ、安定や高収入よりも「子どもの成長を間近で支えたい」「学校という場で貢献したい」という強い思いを持つ人にとっては、そのやりがいは経済的な側面を超える大きなものがあります。この収入面の課題をしっかりと理解したうえで、自分なりの働き方(兼業や副業など)をどう設計していくかが、この仕事を続ける上での鍵になりますね。

最悪と言われる職場環境と人間関係の難しさ

最悪と言われる職場環境と人間関係の難しさ

スクールカウンセラーの仕事が「最悪だ」とか「もう辞めたい」と言われる大きな理由の一つに、残念ながら職場環境と人間関係の難しさがあります。

学校という組織は、ご存知の通り、教師・生徒・保護者、そして教育委員会や地域の人々など、非常に多くの立場の関係者が関わる複雑な場所です。その中でスクールカウンセラーは、どの立場にも偏らず、中立的な専門家としての姿勢で支援を行うことが求められます。これが、言うは易く行うは難し、なんですね。

現実には、多忙な教員から「何をしているのかよく分からない人」「相談室にこもっているだけ」と誤解されたり、逆に「もっと積極的に介入して問題を解決してほしい」と過度な期待を寄せられたりすることがあります。また、良かれと思って提案した支援方法が「教育方針と違う」と受け入れられなかったり、「余計なことを言わないでほしい」と距離を置かれたりして、意見の対立が起きることも少なくありません。

特に難しいのが、スクールカウンセラーには「明確な直属の上司」が学校内にいないことが多いという点です。教育委員会から派遣されている立場だと、学校の管理職(校長・教頭)も直接の指揮命令者ではないケースがあります。組織内での立場が曖昧なため、自分の意見を通しにくかったり、トラブルが起きたときの責任の所在が不明確になったりしやすいのです。結果として、学校内で「お客様」扱いされ、孤立感を深めてしまうこともあります。

それでも、多くのスクールカウンセラーは「すべては生徒のために」という強い信念を持って、困難な人間関係の中でも誠実に対応しようと日々奮闘しています。学校という組織の中で心理の専門性を最大限に活かすには、高度なカウンセリングスキルだけでなく、教員や保護者と円滑な関係を築くコミュニケーション能力と、組織の論理を理解する柔軟性が不可欠なんですね。

苦情対応の多さと精神的負担の大きさ

スクールカウンセラーの仕事には、残念ながら苦情(クレーム)対応がつきものです。これは、「心」という目に見えず、正解のないものを扱う職種の宿命かもしれません。

すべての人を満足させることは難しく、特に子どもの問題を扱うため、保護者や教員から厳しいご意見や苦情を受ける場面は少なくありません。例えば、「相談したのに、子どもの状況が全然良くならない」「もっと具体的なアドバイスがほしかった」「なぜ対応がそんなに遅いのか」「聞いた話が(誤解から)他の先生に漏れている」など、期待とのギャップや不信感から苦情が寄せられることがあります。

苦情対応で最も精神的に消耗するのは、相手が非常に感情的になっているケースが多いことです。相談者である保護者や教員が抱える不安、焦り、怒りの矛先が、そのままカウンセラー個人に向けられることもあります。

時には理不尽とも思える批判や要求を受ける場合もありますが、それでもカウンセラーは専門家として冷静に対応し、まずは相手の感情をしっかりと受け止める必要があります。自分の感情を押し殺し、ひたすら傾聴に徹しなければならない瞬間は、本当に精神力を削られます。

さらに、カウンセリング業務の性質上、問題がスッキリと「解決」しないままに終わるケースも多いです。子どもの抱える課題は、家庭環境や本人の特性など、長期的かつ複雑な要因が絡み合っていることがほとんどで、すぐに結果が出るものではありません。

あれこれ手を尽くしても改善の兆しが見えない場合、「自分の力不足ではないか」と悩み、無力感に苛まれてしまうこともあります(これは「二次受傷」と呼ばれる、支援者特有の精神的負担にも繋がります)。

ですが、こうした苦情や困難なケースも、見方を変えれば成長の機会でもあります。カウンセラーの中には「苦情をいただくのは、それだけ期待されている証拠」「信頼関係を再構築するための一過程」と前向きに捉え、誠実な対応を粘り強く続ける人もいます。苦情をきっかけに保護者との相互理解が深まったり、学校側の対応が見直されたりすることもあるのです。

「意味ない」と感じる瞬間と仕事のやりがいの差

スクールカウンセラーとして真摯に働いている人ほど、ふとした瞬間に「この仕事、本当に意味あるのかな?」と無力感に襲われることがあるようです。

その背景には、やはりこの仕事の「成果が目に見えにくい」という構造的な問題があります。例えば、営業職なら売上、教師なら生徒の成績といった分かりやすい指標がありますが、カウンセリングの成果は数字では測れません。「生徒の心がどれだけ元気になったか」を客観的に証明するのは難しいですよね。支援の必要性が教職員に十分理解されず、連携を断られたり、相談室の利用を促してもらえなかったりすると、「自分は学校に必要ないのでは」と徒労感を覚えてしまうこともあるのです。

特に、公立学校では前述の通り一人あたりの勤務時間が限られているため、定期的なフォローアップや継続的な面接が難しいケースが多いです。せっかく生徒と信頼関係(ラポール)を築きかけても、次の勤務日(1週間後)には状況が悪化していたり、問題がこじれていたりすることも。「もっと頻繁に関われたら…」というジレンマは、多くの非常勤カウンセラーが抱えています。

しかし、スクールカウンセラーの仕事の価値は、目に見える短期的な成果だけで測れるものでは絶対にありません。

ある子どもが、今まで誰にも言えなかった自分の気持ちを、初めて相談室でポツリと話せるようになったり。ある教員が、カウンセラーとの会話をきっかけに、生徒への対応の姿勢を少し変えてくれたり。保護者が、カウンセリングを通じて子どもの新たな一面に気づいたり。

こうした日々の本当に小さな変化の積み重ねが、やがて学校全体の「心のセーフティネット」を強化していくことにつながります。その子の人生にとって、あの時「話を聞いてもらえた」という経験が、どれだけ大きな支えになるか計り知れません。

結局のところ、やりがいの「差」は、何を「成果」と捉えるかで大きく変わってくるんだと思います。短期的な結果や他者からの高い評価を求める人にとっては、確かに「意味ない」と感じやすい、厳しい現場かもしれません。でも、長い目で子どもの成長を見守り、そのプロセスに寄り添うことに喜びを感じられる人にとっては、これ以上ないほど深く、確かなやりがいのある仕事です。

目立たない場所で、確実に「誰かの心を支える存在」であること。それが、この仕事の最大の醍醐味(だいごみ)なのかもしれませんね。

スクールカウンセラーはやめとけ?乗り越えるためには

スクールカウンセラーはやめとけ?乗り越えるためには

ここまで「やめとけ」と言われる厳しい現実を中心にお話ししてきましたが、もちろん、スクールカウンセラーという仕事にはそれを上回る確かなやりがいも存在します。専門的な資格を取得して現場に立つまでの道のりや、実際に働く中で直面する人間関係の課題、そして高校という特有の環境で求められる役割など、知っておくべきポイントは多岐にわたります。

ネガティブな情報に振り回されるのではなく、現実を正しく理解した上で、どうすればその困難を乗り越え、やりがいを見いだしていけるのか。

ここからは、スクールカウンセラーを目指す人が具体的に知っておきたい「資格取得のリアルな流れ」から、現場でうまく立ち回るためのヒント、リアルな口コミ、そして最後に、この仕事に本当に向いている人・向いていない人の特徴までを具体的に紹介していきますね。

資格取得の流れと実際の活かし方

スクールカウンセラーとして公立・私立の学校で専門職として働くためには、まず心理学に関する高度な専門資格を取得することがほぼ必須条件となっています。

代表的な資格は、国家資格である「公認心理師」と、歴史ある民間資格(臨床心理士資格認定協会)である「臨床心理士」の2つですね。どちらも、心の支援に関する高度な知識と技術、そして倫理観を求められる資格です。自治体や学校の募集要項では、このいずれか(あるいは両方)の資格を持っていることが応募条件となっていることがほとんどです。

これらの資格を取得する一般的な流れとしては、まず大学(学部)で心理学関連の指定科目を履修し、その後、大学院の修士課程(または専門職大学院)で心理学の専門課程を修了することが基本ルートとなります。大学院では、理論だけでなく、実際の現場での実習(アセスメントや面接技法)もみっちり学びます。

大学院修了後(あるいは修了見込みで)、それぞれの資格試験(公認心理師は国家試験、臨床心理士は資格認定試験)を受験し、合格することで、晴れて資格取得者となります。つまり、スクールカウンセラーになるには、大学入学から最短でも6年間(学部4年+修士2年)の専門教育と、高額な学費が必要になる、非常にハードルの高い道のりだと言えます。

しかし、ここで注意したいのは、資格を取得したからといって、すぐに安定したスクールカウンセラーの職に就けるわけではない、という現実です。

前述の通り、多くの自治体では非常勤の募集が中心であり、人気の高い地域では応募者も多いため、採用の競争率は依然として高いのが現状です。そのため、大学院在学中から、教育相談所や学校での実習、不登校支援のボランティア活動などに積極的に参加し、「教育現場」での具体的な経験を少しでも多く積んでおくことが、採用の場で非常に重要になってきます。

資格は、あくまで専門家としてのスタートラインに立つための「パスポート」にすぎません。実際の現場では、教科書通りの知識をどう生かすかが鍵となります。例えば、子どもの話をただ傾聴するだけでなく、その子の置かれた状況(アセスメント)に基づき、学校全体の支援体制を整えるために教員とどう協働するか、必要に応じて地域の医療機関や福祉機関(児童相談所など)とどう連携するか、といった実践的な力が何よりも求められるのです。

嫌いな生徒・教師との関係をどう乗り越えるか

これはとてもデリケートな問題ですが、スクールカウンセラーも一人の人間です。どんなに専門的な訓練(トレーニング)を受けていても、どうしても「この生徒は苦手だな」「あの先生とは合わないな」と感じてしまう相手に出会うことはあります。

特に、あからさまに反抗的な態度を取る生徒や、何を話しても「でも」「だって」と否定的な生徒、あるいはスクールカウンセラーの仕事に全く理解を示さず、非協力的な教員と関わらなければならない時、感情的なストレスを感じるのはある意味、自然なことです。

こうした苦手な相手との関係を乗り越えるために、まず専門家として大切なのは、相手の背景を理解しようと努めることです。反抗的な態度を取る生徒の多くは、実は家庭や友人関係に何らかの深刻な問題を抱えており、攻撃的・防衛的な態度で必死に自分を守っている場合があります。その態度の「裏側」にある辛さやSOSを見立てることが重要です。

理解のないように見える教師に対しても同様です。日々、膨大な業務(授業準備、生徒指導、保護者対応、部活動…)に追われ、心理的に余裕がなく、カウンセラーに頼る余裕すらないのかもしれません。表面的な言動だけに反応するのではなく、「なぜ、あの人は今、あのような言動に出ているのか」を冷静に分析(アセスメント)することで、相手への見方が変わり、こちらの対応方法も変わってきます。

また、自分自身の「感情の整理」も非常に大切です。「苦手だ」という意識を持ったまま相手と接していると、そのネガティブな感情は(どんなに隠そうとしても)非言語的な態度に表れてしまい、相手との距離がさらに広がってしまいます。そうならないためには、自分の感情(例えば「見下されたように感じて腹が立った」など)を客観的に見つめ直し、整理することが有効です。

最も重要なのは、この作業を一人で抱え込まないこと。信頼できる同僚のカウンセラーや、教育委員会が提供する「スーパービジョン」(SV:より経験豊富な専門家から指導・助言を受けること)**の機会を活用し、ケースについて客観的な視点を取り戻すことが、専門家としての質を保つ上で絶対に必要です。

最終的には、「相手を無理に好きになる必要はない。けれど、専門家として理解しようとする姿勢は持ち続ける」ということが、困難な関係を乗り越える第一歩かなと思います。苦手だった相手と、時間をかけてでも信頼関係を築けたときの達成感は、自分自身の大きな成長にもつながりますからね。

高校の現場で求められるカウンセラーの役割

高校の現場で求められるカウンセラーの役割

スクールカウンセラーが配置されるのは小中学校だけではありません。高校の現場にも、もちろん配置されています。そして、高校のスクールカウンセラーには、小中学生の現場とはまた異なる専門性や対応力が求められます。

高校生は、思春期の後半、つまり「子ども」から「大人」への過渡期にいます。彼ら・彼女らが抱える悩みは、①進路選択(キャリア)、②アイデンティティの確立(自分とは何か)、③より複雑化する人間関係(恋愛、SNS)、④家庭の問題など、非常に多面的で、人生の選択に直結する深刻なものが増えてきます。そのため、単なる「悩み相談の相手」というだけでなく、生徒の人生の転機を支える「伴走者」としての立ち位置がより重要になるのです。

特に多い相談は、やはり「進路」や「将来」に関する悩みです。大学進学、専門学校、就職、あるいはまだ何も決まっていない…と、進路の多様化が進む中で、生徒は「自分に何が向いているのか分からない」「親の期待に応えなければ」「失敗したらどうしよう」といった強い心理的な葛藤(プレッシャー)を抱えやすくなります。

カウンセラーは、その不安や焦りにじっくりと寄り添いつつ、心理検査(適性検査など)も活用しながら自己理解を深める支援を行い、生徒が「自らの意思で」進路を選択できるようサポートします(これはキャリアカウンセリングの側面も持ちます)。

また、高校生の中には、SNS上での深刻なトラブル、友人間のいじめ(より陰湿・巧妙化することも)、長期化する不登校、家庭内不和や虐待、あるいは精神疾患(うつ病、不安障害、摂食障害など)の兆候が見られるケースも少なくありません。これらの課題は一人で抱え込む傾向が強く、周囲に相談できずに心身の不調をきたすこともあります。カウンセラーは、そうした生徒たちにとっての「安全基地」となり、秘密が守られる空間で安心して話せる場を提供します。

さらに、高校では生徒だけでなく、教職員への心理的サポート(メンタルケア)も非常に重要な役割となります。難易度の高い進路指導や、複雑化するクラス運営に悩む教員のコンサルテーションに乗ったり、保護者対応に関する相談を受けたりするなど、教員を支えることで、結果的に学校全体の教育環境の改善に貢献することも期待されています。

口コミから見るリアルな現場の声

スクールカウンセラーという仕事のリアルを知るには、実際に働いている人たちの「口コミ」を見てみるのが一番かもしれません。ネット上や研修会などで聞かれる声には、その実態の「明」と「暗」がはっきりと分かれています。

ポジティブな口コミ(やりがい)

  • 「最初は全く話してくれなかった生徒が、卒業間際に『先生がいたから学校に来られた』と手紙をくれた時、涙が出た」
  • 「長期間不登校だった子が、別室登校から少しずつ教室に復帰していくプロセスに立ち会えた時の達成感はすごい」
  • 「先生方と連携して支援策を考え、クラスの雰囲気が目に見えて良くなった時、チームで働いている実感を持てた」
  • 「保護者の方から『相談して本当に良かった。家での接し方が分かった』と言ってもらえた」

ポジティブな声として圧倒的に多いのは、やはり「生徒の変化に立ち会えた瞬間の喜び」や、「信頼関係を築けたときの達成感」ですね。

生徒が初めて心を開いてくれたり、自分の力で困難を乗り越えようとする姿を見たりすることは、この仕事でしか味わえない、何物にも代えがたい「やりがい」になっているようです。

ネガティブな口コミ(不満・悩み)

  • 「結局は時給制の非常勤。来年度の契約があるか毎年不安。専門職なのに給料が安すぎる」
  • 「学校内で『外部の人』という扱いで、職員会議にも出させてもらえず、情報が共有されない。孤立感がすごい」
  • 「生徒の抱える問題が深刻すぎて(虐待や貧困など)、学校の枠内では何もできず、自分の無力さを痛感した」
  • 「管理職や教員の理解がなく、『カウンセラーは何でも解決してくれる人』と勘違いされていて、無理難題を振られる」

一方で、ネガティブな口コミには、やはり「給料が安い」「雇用が不安定」といった待遇面への現実的な不満が多く見られます。1年ごとの契約更新に怯えなければならず、経済的にも心理的にも不安定さを抱える人が少なくありません。

さらに、学校内で「孤立しやすい」という声や、「生徒の抱える問題が深刻すぎて、自分の無力さを痛感した」という専門家としての苦悩も多く聞かれます。特に虐待や深刻な家庭崩壊など、学校の枠をはるかに超える問題に直面した際、どこまで介入すべきか、自分に何ができるのかと深く悩むカウンセラーは多いです。

これらの口コミから分かるのは、スクールカウンセラーという仕事が、決してキラキラした楽なものではなく、むしろ泥臭く、精神的なタフさが求められる職業であるということです。ですが同時に、現場の苦労と同じか、それ以上の「やりがい」が存在し、覚悟を持って現場に臨むことで深い充実感を得られる職種であることも、うかがえますね。

向いている人・向いていない人の特徴とは

ここまで読んでいただいて、「じゃあ、結局どんな人がスクールカウンセラーに向いているの?」と気になっている方も多いと思います。この仕事は専門性が高いだけでなく、その人の人間的な資質(パーソナリティ)が強く問われる職業です。そのため、向いている人と向いていない人の特徴が、比較的はっきりと分かれる傾向があるかなと思います。

もちろん、これが全てではありませんが、一つの目安として参考にしてみてください。

スクールカウンセラーの適性
向いている人の特徴 向いていない人の特徴
人の話をじっくり聞ける(傾聴力)

相手の言葉を遮らず、その背景にある感情まで受け止める姿勢。

結果をすぐに求めてしまう

「すぐに解決したい」「白黒つけたい」という思考が強い人。

共感力と冷静さの両立

相手の辛さに寄り添いつつも、感情に流されず客観的に分析できる。

評価を過度に気にする

他者(上司や同僚)からの承認や評価が第一のモチベーション源の人。

協調性と柔軟性

多様な価値観(教員、保護者)を尊重し、チームの一員として動ける。

自分のやり方に固執する

「心理学的にはこうだ」と理論を振りかざし、現場と対立しやすい人。

精神的なタフさ・忍耐力

成果が見えなくても、理不尽なことを言われても、粘り強く関わり続けられる。

感情移入しすぎる

相手の辛さを自分のことのように引き受けすぎて、自分が消耗してしまう人。

自分自身を客観視できる

自分の心の状態をモニターし、必要なら助けを求められる(SVを受けるなど)。

「教えてあげる」姿勢の人

アドバイスや指導をすることが支援だと思っている人。

向いている人の特徴として、何よりもまず挙げられるのは、「人の話をじっくりと、誠実に聞ける人」です。相談者が安心して話せるよう、相手の言葉を評価・判断(ジャッジ)せずに、ありのまま受け止める「受容的態度」が求められます。

また、共感力と冷静さを両立できることも重要です。生徒の気持ちに深く寄り添うと同時に、感情に飲み込まれず、専門家として冷静に状況を判断するバランス感覚が必要です。そして、学校内では多職種との連携が欠かせないため、自分の専門性(プライド)は持ちつつも、他職種へのリスペクトを忘れず、協調性と柔軟性を持って動ける人が現場で重宝されます。

一方で、向いていない人の特徴としては、「結果をすぐに求めてしまう人」が挙げられます。スクールカウンセリングは、魔法ではありません。1回の面談で問題が劇的に解決することはほとんどなく、成果が見えにくい中で、根気強く支援を続ける「忍耐力」が必須です。

さらに、「人に評価されること」でモチベーションを保つタイプの人も、もしかしたら不向きかもしれません。スクールカウンセラーの成果は数字では測れず、学校内で「縁の下の力持ち」に徹することも多いため、他者からの評価や感謝の言葉が得られにくい仕事だからです。

外部からの承認(「ありがとう」)よりも、自分自身の内側にある信念や使命感(「あの子の力になれたかも」という小さな手応え)を原動力にできる人のほうが、この職業で長く活躍できる可能性が高いです。

つまり、スクールカウンセラーに向いているのは、「人の成長や可能性を、長い目で見守ることができる人」「予測不能な状況にも、柔軟に対応できるしなやかさを持つ人」「評価されなくても情熱を失わない、静かな強さを持つ人」と言えるでしょう。

子どもたちの心に寄り添い続ける覚悟と、自分自身を見失わない強さを持つことが、この仕事を続ける上で最も重要なのかもしれませんね。

まとめ

この記事のポイントをもう一度、簡潔にまとめますね。

  • スクールカウンセラーが「やめとけ」と言われるのは、理想と現実のギャップ、特に現場の厳しさと待遇の不安定さが大きな理由である
  • 主な仕事内容は児童生徒・保護者・教職員への多角的な心理的支援であり、カウンセリング以外の調整業務も多く、幅広い対応力が求められる
  • 雇用の多くが非常勤(会計年度任用職員など)で、勤務日数も限られるため、給料が低く年収100〜200万円台にとどまるケースも珍しくない
  • 職場(学校)では教員との連携や役割理解の差から孤立しやすく、複雑な人間関係のストレスを抱えることがある
  • 「心」を扱うため苦情対応や感情的なやり取りも多く、成果も見えにくいため、精神的に消耗しやすい仕事である
  • 時には「意味ない」と無力感を感じやすいが、目に見えない小さな変化の積み重ねや、生徒の成長に立ち会えることが、何物にも代えがたいやりがいにつながる
  • 資格取得には大学院修了(6年間)が基本でハードルが高く、資格取得後も採用は競争率が高い
  • 嫌いな生徒や理解のない教師との関係も、相手の背景を冷静に分析し、スーパービジョンを活用しながら専門家としての姿勢を貫くことで改善が可能
  • 特に高校現場では、進路・アイデンティティ・SNSトラブルなど、より複雑で深刻な問題への専門的対応力が求められる
  • 向いているのは、傾聴力・共感力と冷静さを併せ持ち、評価を気にせず、長期的視点で人の成長を支えられる、精神的にタフな人である

スクールカウンセラーという仕事は、ここまで見てきたように、決して楽な道ではありません。給料や雇用の不安定さ、複雑な人間関係、成果の見えにくさ、そして時に「最悪だ」と感じるほどの苦情対応など、「やめとけ」と言われる要素も確かに数多く存在します。

しかし、その一方で、他の仕事では決して味わえないような、深く、確かなやりがいがあることも事実です。困難な状況にある生徒の心の変化や、ほんの小さな成長の瞬間に立ち会えることは、何物にも代えがたい貴重な経験です。公認心理師や臨床心理士といった専門資格を取得し、強い覚悟を持って現場に立つことでしか得られない「手応え」があります。

もしあなたが、目先の安定や高い給料よりも、「誰かの心を本気で支えたい」「子どもの未来のために働きたい」という想いを何よりも大切にできる人ならば。この仕事は、あなたの人生にとって非常に大きな意味を持つ、価値ある道となるでしょう。